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令和 3年12月第5回定例会(第3号12月 8日)

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  1. 水俣市議会 2021-12-08
    令和 3年12月第5回定例会(第3号12月 8日)


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    令和 3年12月第5回定例会(第3号12月 8日)      令和3年12月第5回水俣市議会定例会会議録(第3号) 令和3年12月8日(水曜日)                  午前9時30分 開議                  午後2時29分 散会  (出席議員) 16人 牧 下 恭 之 君       田 中   睦 君       平 岡   朱 君 髙 岡 朱 美 君       渕 上 茂 樹 君       木 戸 理 江 君 小 路 貴 紀 君       桑 原 一 知 君       杉 迫 一 樹 君 藤 本 壽 子 君       岩 阪 雅 文 君       岩 村 龍 男 君 谷 口 明 弘 君       真 野 頼 隆 君       田 口 憲 雄 君 松 本 和 幸 君  (欠席議員) なし  (職務のため出席した事務局職員) 4人 事 務 局 長 (設 楽   聡 君)  主     幹 (関   洋 一 君) 主     幹 (中 村 亮 彦 君)  主     任 (藤 澤 亜 未 君)  (説明のため出席した者) 14人 市     長 (髙 岡 利 治 君)  副  市  長 (小 林 信 也 君)
    総務企画部長  (中 谷   衛 君)  福祉環境部長  (高三潴   晋 君) 産業建設部長  (本 田 聖 治 君)  教  育  長 (小 島 泰 治 君) 総合医療センター事務部長         (松 木 幸 蔵 君)  教 育 次 長 (坂 本 禎 一 君) 上下水道局長  (金 子 昌 宏 君)  総務企画部市長公室長                              (鎌 田 みゆき 君) 総務企画部総務課長            総務企画部地域振興課長         (梅 下 俊 克 君)          (柿 本 英 行 君) 総務企画部財政課長            教育委員会教育総務課長         (岡 本 夫美代 君)          (赤 司 和 弘 君)         ────────────────────────── 〇議事日程 第3号 令和3年12月8日 午前9時30分開議 第1 一般質問 1 平 岡  朱  君  1 水俣病問題について              2 大規模風力発電計画について              3 再生可能エネルギーを中心とした電力供給について 2 小 路 貴 紀 君  1 市政報告会について              2 移住定住の推進策について              3 みなくるバスについて              4 エコパーク水俣を中心とした経済効果の創出について              5 マンガ県くまもとについて 3 岩 阪 雅 文 君  1 水俣市の財政状況について              2 小中学校の一貫教育具体的推進について              3 市長の公約や施策等の達成と実現度について         ────────────────────────── 〇本日の会議に付した事件  議事日程のとおり         ──────────────────────────                                   午前9時30分 開議 ○議長(牧下恭之君) ただいまから本日の会議を開きます。         ────────────────────────── ○議長(牧下恭之君) 日程に先立ち諸般の報告をします。  本日の会議に地方自治法第121条の規定により、赤司教育総務課長の出席を要求しました。  次に、本日の議事は、議席に配付の議事日程第3号をもって進めます。  以上で報告を終わります。         ────────────────────────── ◎日程第1 一般質問 ○議長(牧下恭之君) 日程第1、昨日に引き続き、一般質問を行います。  順次、質問を許します。  なお、質問時間は、答弁を含まない1人30分となっておりますので、そのように御承知願います。  初めに、平岡朱議員に許します。   (平岡朱君登壇) ○(平岡 朱君) おはようございます。日本共産党の平岡朱です。  水俣病の公式確認から65年を迎えた今年、9月に公開となった映画「MINAMATA」は大変な話題となりました。映画のモデルとなったユージン・スミス氏が出版した写真集「MINAMATA」もこの映画をきっかけに再出版され、再び注目が集まっています。お隣、津奈木町のつなぎ美術館でも作品展が行われ、映画を見た多くの方が訪れました。映画が全国公開される前には、テレビでも頻繁に特集が組まれておりましたが、ある日の全国版のニュース番組でもユージン・スミス氏の写真が紹介されており、その中の1枚には亡き祖父の姿もありました。私自身、映画や当時の写真を通して、水俣病について改めて考えるきっかけとなりました。若い世代、また子どもたちがそれぞれに公害の教訓を受け止め、これからを生きる未来を何を大切にしていくのか、各々が考え、次の行動へとつなげていってくれることに期待し、以下質問に入ります。  大項目1、水俣病問題について。  ①、市長は映画「MINAMATA」を見られたか。  ②、水俣市が映画「MINAMATA」の先行上映会に後援しなかった理由は何か。  ③、現在、熊本地裁大阪地裁東京地裁で係争中の水俣病不知火患者会を原告とする裁判は、提訴後何年になるか。  ④、現在、熊本地裁大阪地裁東京地裁で係争中の水俣病不知火患者会を原告とする裁判の原告数はそれぞれ何名か。  大項目2、大規模風力発電計画について。  ①、事業者による説明会の開催はどのような予定になっているか。  ②、環境アセスメントのおおよその日程はどのようになっているか。  ③、アセスメントの結果を待つまでもなく、この計画について水俣市の態度をはっきりと表明されてはどうかと思うがいかがか。  大項目3、再生可能エネルギーを中心とした電力供給について。  ①、令和元年9月議会において、地域新電力会社の設立に向けて「現時点での検討状況は、現行の枠組みで、アーバンエナジー株式会社から電力の供給を受ける方法と新電力会社を設立して電力を受ける方法のおのおののメリット、デメリット、また設立に伴う課題の整理を行っているところ」とのことであったが、その後出されたメリット、デメリット、設立に伴う課題は何であったか。  ②、市が保有する全ての施設で再生可能エネルギーを中心とした電力の導入を目標としておられるが、市有施設から広げる取り組みについて検討はしないのか。  以上、本壇からの質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 答弁を求めます。  髙岡市長。   (市長 髙岡利治君登壇) ○市長(髙岡利治君) 平岡議員の御質問に順次お答えします。  まず、水俣病問題については私から、大規模風力発電計画については福祉環境部長から、再生可能エネルギーを中心とした電力供給については総務企画部長から、それぞれお答えします。  初めに、水俣病問題について順次お答えします。  市長は映画「MINAMATA」を見られたかとの御質問にお答えします。  現在のところ、見ておりません。  次に、水俣市が映画「MINAMATA」の先行上映に後援しなかった理由は何かとの御質問にお答えします。  後援しなかった理由としては、4点ございます。  まず1点目は、史実に即したものか不明であったということです。水俣病という極めて厳粛な社会問題については、史実に忠実であることが肝要であるとの認識から、映画の内容が史実に即したものか否かの判断がつきかねました。  2点目に、制作者の意図や狙いが不明であったということです。本作に込められた制作者の意図や狙いが十分に提供されておらず、後援が可能か否かの判断ができませんでした。  3点目に、水俣病の教訓に資するものであるかということです。水俣病の教訓を発信する際には、水俣病の被害者、または水俣市民に対する差別の解消が重要な観点と位置づけていますが、映画が水俣病の教訓の発信に資するか否かを判断できませんでした。また、水俣病の教訓を発信する際には、水俣病の歴史とともに、その教訓を踏まえて、再生しつつある現在の水俣をセットで扱うことが求められると考えております。  最後、4点目に、複雑な市民感情への配慮が必要ということです。水俣病問題に関しては、市民の中にさまざまな感情や考えが現に存在しています。水俣市としては、このような複雑な市民感情への配慮が極めて重要と考え、名義後援をしないという判断をいたしました。  次に、現在、熊本地裁大阪地裁東京地裁で係争中の水俣病不知火患者会を原告とする裁判は、提訴後何年になるかとの御質問にお答えします。  現在、熊本地裁大阪地裁東京地裁で係争中の、水俣病不知火患者会を原告とする裁判、いわゆるノーモア・ミナマタ第2次国家賠償等請求訴訟につきましては、国に確認したところ、熊本地裁における提訴日は平成25年6月20日、大阪地裁は平成26年9月29日、東京地裁は平成26年8月12日であり、熊本地裁では提訴後8年、大阪地裁及び東京地裁では提訴後7年が経過しております。  次に、現在、熊本地裁大阪地裁東京地裁で係争中の水俣病不知火患者会を原告とする裁判の原告数はそれぞれ何名かとの御質問にお答えします。  当該裁判につきまして国に確認したところ、令和3年10月19日現在で、熊本地裁における原告数は1,405名、大阪地裁は130名、東京地裁は83名となっております。 ○議長(牧下恭之君) 平岡朱議員。 ○(平岡 朱君) それでは、2回目の質問に入ります。  映画「MINAMATA」は9月18日、水俣で先行上映会が行われ、9月23日には全国公開されました。テレビでは、全国放送の情報番組でも幾つも特集が組まれ、各種新聞でもこの映画について連日大々的に取り上げられていました。そんな中、まだ映画を見られていないということで大変驚きました。これまで、この映画に関する議会の答弁の中で、地域にとって負のイメージだけが広がらないようにお願いしたいとか、市民、とりわけ次代を担う若い世代が自らのふるさとに自信を持てる内容となっていることを願っているなど、映画の中身に対しての要望があっておりましたので、完成した映画が果たしてどのような内容だったのか、確認のためにも当然御覧になっているものだと思っておりました。  また、以前、この映画のPR、活性化につなげてほしいという議会での質問に対し、映画の内容が地域の活性化に結びつくものであれば考えていきたい。現段階では、どのような内容かわからないため、PRすることはできないと考えている。地域の活性化が図られ、次代の水俣を担う若者が自らふるさとに自信を持てる内容であれば、市内外にPRすることも考えていくと、こう答弁されています。また、活性化につなげられるような内容であれば、方策等については考えてみたいと、こうもおっしゃっています。  しかし、映画が全国公開された後も御覧になっていない。これまで、映画の内容を把握していないので、活性化につなげられるか判断するのは難しいとおっしゃっていたので、映画を見てから判断されるものだろうと思っておりました。内容を把握するためには、まずは映画を見ないことには始まりません。  そこで、最初の質問です。  今後、市長は映画「MINAMATA」を見られるおつもりはあるでしょうか。まず、これが1点目です。  また、裁判についてですが、水俣病の公式確認から65年もたちますが、お示しいただいたように、今なお救済を求める裁判が続けられています。裁判は、既に提訴から8年を迎え、今年に入ってから34名の原告が亡くなられ、裁判が始まってから159名もの原告が亡くなられています。被害者には、時間がありません。1日でも早く救済の道が開かれることが急がれます。  そこで、2点目の質問ですが、市長はこの現状をどう思われるかお尋ねいたします。  また、3点目に、令和2年12月議会において、今なお救済を求めている方がいらっしゃることについて、1日も早く、あたう限りの方が救済されることが必要、水俣病問題への対応については、本市の重要な課題であり、解決が図られるよう取り組んでいかなければならない。本市においては、被害を受けられた方はもちろん、多くの市民の声を、県や国、関係企業にしっかりと伝えていかなければならないと考えているとのことでしたが、この間、国、県、関係企業に被害者の声を伝えられたでしょうか。これが3点目です。  そして、4点目の質問です。  被害者救済のためには、水俣病がどんな病気なのか、被害はどこまで広がっていたのか、被害の実態を把握することが本当に重要だと思います。  11月30日、環境省の国立水俣病総合研究センターが、水俣病を含むメチル水銀中毒の客観的な評価法の開発について進捗状況の報告会をされましたが、その内容について、市長はどう思われたでしょうか。  2回目の質問は、以上4点です。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 平岡議員2回目の御質問にお答えいたします。4点ございました。  1点目は、映画「MINAMATA」を見に行くつもりかどうかという御質問です。スケジュールの調整がつけば、見に行くことも考えております。  2点目の、提訴から8年を迎え多くの方が亡くなられた、市長はこの現状をどう思うかという御質問でございました。  裁判の判決が確定する前に、多くの方々がお亡くなりになられたことは、非常に残念であるというふうに受け止めております。本市としましても、1日も早く救済を受けるべき方々が救済をされ、水俣病問題の解決が図られるよう、今後も努めてまいりたいと考えております。
     3点目の、令和2年12月議会で、被害を受けた方はもちろん、多くの市民の声を国や県、関係企業に伝えると言ったが、その後どうなんだという御質問でございました。  水俣病被害者の救済につきましては、私が市長に就任以来、機会を捉えてさまざまな立場の方々の声を真摯に受け止めまして、それぞれの関係者に伝えるよう努めてまいりました。令和2年12月以降も、国や県に対して、水俣病問題は本市における重要課題であるということをお伝えし、解決のための支援をお願いするほか、要望活動などを通しまして積極的な働きかけを行っております。また、原因企業であるチッソに対しましても、面談する機会の場等においてしっかりと、被害を受けられた方々の声をお伝えしております。  最後、4点目、環境省の水俣病国立総合研究センターが、客観的な評価の手法についてということで発表されてますけども、その内容についてどう思うかという御質問でありました。  国立水俣病総合研究センターで現在進められている、脳磁計とMRIを用いました、水俣病の臨床研究における現時点での進捗状況の報告会であったというふうに認識をしております。来年の秋までに、感覚障害と運動失調を客観的に評価するシステムを確立する方針とのことですので、その動向を見守りたいと考えております。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 平岡朱議員。 ○(平岡 朱君) 映画「MINAMATA」の公式ホームページには、著名人らのコメントが多数掲載されています。例えば、黒柳徹子さん、武田鉄矢さん、南こうせつさん、加藤登紀子さんなどなど、ほかにもさまざまな分野の方がこの映画についての感想やメッセージを寄せられています。この映画に関しては、本当にたくさんの新聞記事にもなり、新聞の1面を飾るというときも珍しくありませんでした。  10月8日付の西日本新聞では「イタリアから水俣病発信」と題する記事がありました。イタリアの日本人学校中等部生徒たちが、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の関連行事で、水俣病学習の成果を発表したという記事です。この生徒たちは、当初、英語の授業で取り組む環境学習の一環として、水俣市のごみリサイクル事業を取り上げる予定だったそうです。それだけでもすばらしい話なんですが、そんな中、世界で公開中の映画「MINAMATA」の存在を知り、外国の人が水俣病を伝えているのに、日本人が観客として見ているだけでいいのか。自分たちも日本人として、水俣病を外国の人たちに伝えたいと発案し、水俣の語り部からの話をオンラインで聞いたり、絵本や研究論文を読んで理解を深めたそうです。  発表会では、人々が水俣病に興味を持ち、現状を理解して自分ができる活動をする人も出てくると思うと、映画の意義を語っています。これはほんの一部のエピソードですが、このように映画に出会った一人一人が水俣病のことを知り、さらに学び、自分にできることを考え行動する。もちろん、受け止めはそれぞれかとは思いますが、それも映画のよさです。熊本県の蒲島知事も、この映画を鑑賞したと明かした際、感銘を受けた、水俣病問題が世界的な問題だと示してくれた、映画を通して水銀フリー社会の実現が加速することにも期待したいと語られています。  この映画が世界に向けて発信する水俣病の歴史と教訓は、非常に大きな意味を持つものだと思います。先行上映会の後援会を断った理由の1つに、制作者の意図や狙いが十分に提供されておらずなどの表現がありましたが、以前、田中議員がエグゼクティブプロデューサーからのメールについて質問をされた際、水俣を訪問したいし、時間があれば挨拶にも伺いたいとの申し出に、水俣市はメールの返信すらしていないということが明らかになりました。積極的に情報収集しようという姿勢をお持ちであれば、メールを介してでも制作者の意図や思いも含め十分確認できる手段はあったはずです。映画のタイトルにもなっている水俣市が、このような姿勢でよいのでしょうか。  映画「MINAMATA」は、フィクションではあるものの、ここ水俣の地で悲惨な公害が発生し、命が奪われ、被害者自身、その家族、市民が苦しみ、その問題に正面から向き合い、そして闘ってきたという事実を伝えています。この映画を通して、もう二度とこの悲劇を繰り返してはならないと、その決意の場として、水俣はその悲劇を忘れないための聖地として存在し得る場所です。この映画をきっかけに水俣に訪れていただけるよう水俣市が、国内だけにとどまらず世界に向けて広く発信していくべきではないでしょうか。  実際に、この映画をきっかけに、写真家であったり、全国各地の大学生であったり、多くの方が水俣を訪れています。映画は今日現在も、熊本を含めて全国各地で上映されています。日本での観客動員数は既に15万人以上に上り、来年2月18日にはこの映画のDVDも発売決定となっています。予定では2月16日から、水俣でのDVDレンタルも開始となります。国内でも世界でも、今後も多くの方がこの作品と出会い、水俣を訪れるきっかけになるかと思います。  そこで1つ目の質問ですが、まずはぜひ早めに映画を見ていただいて、水俣市をPRする、また、水俣病を活性化するための企画を検討されてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。  これがまず1点目です。  そして、健康調査についてです。  健康調査については、動向を見守りたいとのことでしたが、手法の開発を注視しているばかりでは被害者の救済は進みません。特措法の成立から12年がたちますが、いまだに健康調査が行われていないばかりか、いまだ手法の開発が進められている段階です。  先日の報告会は、答弁にもありましたように、臨床研究進捗状況の報告会であり、手法開発についてはこれからということでした。来年の秋に、もしその手法が確立されたとしても、どのような調査を行っていくかも定かではありません。水俣病という病気がどんな病気で、どれだけの被害が広がっているのか、そのこともわからないまま半世紀以上が過ぎました。生きているうちに救済を。これは、被害を受けた方のせめてもの願いです。水俣病の病状と被害の実態を明らかにし、1日でも早く救済していくためにも、不知火海沿岸の住民調査は重要課題です。水俣市はその先頭に立って、健康調査の重要性、迅速な対応を国に働きかけることが必要ではないでしょうか。先ほどの答弁で、国や県に対しても解決のための支援をお願いされているとのことでしたので、ぜひこのこともお願いしたいと思います。  そして、ここで2点目の質問です。  全ての被害者の救済と水俣病問題解決のためには、健康調査の実施がその第一歩と考えますが、市長の認識をお聞かせください。  最後に、もう1点。  以前、市長は、対象地域外、年齢による線引きで救済されていない被害者がここ水俣でも放置されていることについて、専門家ではないのでお答えする立場にないとおっしゃいました。専門家ではないかもしれませんが、市民の命を預かる市長です。必要であれば、専門家とも協議し、意見を聞き、この問題にどう向き合うかという姿勢が大切ではないかと思います。改めて、水俣市の市長として、いまだ救済の道すら開かれていないことについてどう思われるか、また、どう対応していかれるおつもりかお聞かせください。  以上3点お伺いして、この質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 平岡議員3回目の御質問にお答えします。3点ありました。  まず1点目は映画「MINAMATA」の件で、映画を見に行って、地域の活性化につなげてはどうかという御質問でございました。  今後、先ほども申し上げましたように、スケジュール調整がつけば見に行くことも考えております。見まして、その判断によってどうなるかということは、またその後判断させていただければと思います。  それから2点目の、被害者救済、それから水俣病の解決に向かって、健康調査の実施が第一歩と考えるけども、どうかという質問でございました。  今回、国立水俣病総合研究センターからの客観的手法研究報告がございましたけれども、健康調査に関しましては、この手法の開発状況によって検討されるものと認識をしておりますので、推移を見守ってまいります。  最後、3点目の、救済の道すら開かれていないということに対して、どう思うか、また、どう対応していくかという御質問でございました。  今なお救済を求めている方がおられることにつきましては、1日も早く、あたう限りの方が救済されることが必要であると考えております。本市としましても、先ほど答弁しましたとおり、被害を受けられた方、そして多くの市民の声を国や県、そして関係企業にしっかりと伝えてまいりたいと考えております。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 次に、大規模風力発電計画について答弁を求めます。  高三潴福祉環境部長。   (福祉環境部長 高三潴晋君登壇) ○福祉環境部長(高三潴 晋君) 次に、大規模風力発電計画について順次お答えします。  まず、事業者による説明会の開催はどのような予定になっているかとの御質問にお答えします。  環境影響評価方法書に関する説明会については、これまで、電源開発は本年4月、もやい館での全体説明会を皮切りに、湯出、長崎、石坂川地区において7回、地域説明会を実施しております。ジャパン・リニューアブル・エナジーは、本年9月以降、久木野地区を中心に7回、地域説明会を実施しております。また、今後の説明会の予定について、ジャパン・リニューアブル・エナジーは、本年12月17日に全体説明会を計画しておりましたが、延期となっております。  次に、環境アセスメントのおおよその日程はどのようになっているのかとの御質問にお答えします。  環境影響評価法における現在の段階は、環境影響評価方法書策定が終了し、環境影響評価準備書策定に移行している段階です。準備書の策定は、県に確認したところ、一般的には方法書策定後1年半から3年ほどかかるとのことでした。方法書が策定されて約1年が経過しましたが、事業者からは、準備書策定の日程についてまだ相談がございませんので、いつ公表されるか不透明であり、現時点でおおよその日程についてお示しすることはできません。  次に、アセスメントの結果を待つまでもなく、この計画について水俣市の態度をはっきりと表明されてはどうかと思うがいかがかとの御質問にお答えします。  環境影響評価法第3条には、国、地方公共団体、事業者、国民は、環境影響評価の重要性を深く認識し、環境影響評価そのほかの手続が適切かつ円滑に行われ、環境の保全についての配慮が適正になされるよう、それぞれの立場で努めなくてはならない旨規定されております。このことから、まずはアセス制度を活用し、事業の精査と環境影響の把握、保全措置を考えることが重要であって、行政の態度を表明するよりも優先すべきと考えています。 ○議長(牧下恭之君) 平岡朱議員。 ○(平岡 朱君) 今、説明会やアセスメントの大まかな手続日程についてはお示しいただきましたが、水俣市の態度については、まだはっきりとできていない状態にあるようです。計画について、もし判断ができないような状況であれば、さまざまアセスの結果等を基にしながら検討していくことも方法の1つではありますが、アセスメントの結果を待たずして行政の態度表明ができないとする法的根拠はないのではないでしょうか。現に、過去、水俣市でも産廃処分場建設や風力発電計画が持ち上がった際、アセスの結果を待つまでもなく反対を表明しています。  また、最近では、全国的に見られる大規模風力発電計画においても、広島県の安芸太田町がアセスの手続段階で、災害の発生リスクが高まるとして、町の土地を貸し付けないとし、事実上、事業の受け入れに反対を表明されています。また、山形県鶴岡市でも、アセスの配慮書の段階で、市長が重大な懸念を持っていると表明されています。このように、アセスの手続段階であっても、行政の態度を表明することはできるはずですし、過去、水俣市が環境に対する影響や住民の抱える不安により反対表明したときと今日の状況とは変わりないのではないでしょうか。  現段階で、水俣でも計画に対する市民の不安、近隣の山々で確認されている希少生物の存在、水質に与える影響、景観への影響などなど、懸念される材料は多々ありますが、特に土砂災害を起こしやすいとする水俣の地形や地質の特徴については、先日、大規模風力発電を考える会で市に申し入れをした際に、地質学を専門とされる長峰智先生から、水俣市の担当者の皆さんにも研修の機会をつくっていただきました。  そこで、1点目の質問です。  先日の研修会で、長峰先生の説明を聞かれ、どう思われたでしょうか。  また、2点目に、この研修会が行われた日、長峰先生のほうからも水俣市に対し申し入れ書が提出されておりましたが、この申し入れ書の内容はどういった内容だったでしょうか。  また、3点目に、ここ水俣市は環境モデル都市に選定されていますが、現時点でこの大規模な風力発電計画が果たして環境モデル都市にふさわしいものかどうか、市長はどうお考えでしょうか。  2回目の質問は、以上3点です。 ○議長(牧下恭之君) 高三潴福祉環境部長。 ○福祉環境部長(高三潴 晋君) 2回目の質問をいただきました。3点ございましたけれども、最初の御質問と2番目の御質問につきましては、私のほうから答弁をさせていただきます。  まず、先日、11月18日でございましたでしょうか、研修会で長峰先生の説明を聞かれてどう思ったかということでございます。  本市の山間部について、地形が急峻であること、水を通さない固い地層の上に、水を通す風化しやすい地層がのっている地質の部分が多いこと、大浦川の扇状地は過去の土石流の跡であること、事業予定地にヤマネが生息していることなど、多くのことが認識でき、大変勉強になったと思っております。  また、2つ目の御質問でございます、長峰先生から提出された申し入れ書はどういった内容であったかという御質問についてです。  風力発電事業は、水源枯渇、土砂災害のリスクが高く、希少動植物にも大きな影響を与えるため、事業者に白紙撤回を働きかけていただきたいとの内容でございました。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 議員2回目の御質問の3点目、この風力発電事業が環境モデル都市にふさわしいものかどうか、どう考えるかという御質問でございます。  現在、風力発電事業の各計画において、環境アセスメントの手続に沿った調査が行われている段階であり、現時点では、本市の掲げる環境モデル都市の理念にふさわしい計画かどうか判断できる段階ではないと考えておりますので、事業の精査と環境影響への把握、そして安全措置を注視してまいりたいと考えております。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 平岡朱議員。 ○(平岡 朱君) まず、長峰先生からの説明を受けての感想についてですが、私も研修に参加させていただき大変勉強になりました。また、それと同時に、水俣の地形や地質の特徴を知り、ますますこの計画について不安を覚えました。長峰先生からの申し入れ書の内容についてはコンパクトにお答えいただきましたが、水俣の山間地が土砂災害の素因となるキャップロック構造と言われる地形特徴を持つこと、水俣の山間地には、土石流、危険渓流が多々あり、本事業により土砂災害のリスクがさらに大きくなること、計画地である御岳周辺の山などは水タンクの役割をしており、本事業により地下水への影響が心配されること、そして近隣の山々では、絶滅危惧種で国の天然記念物であるヤマネや、特別天然記念物であるカモシカなどの希少生物が存在し、この事業により生息が脅かされることなど、この計画について大変危惧しておられるとのことでした。研修会では、水俣の地で発生した土砂災害の現場などを自ら回られ、何十年にもわたり蓄積してこられたデータを基に、水俣の地形や地質の特徴について詳しく説明してくださいました。  建設予定の風車は、高さ150メートル、熊本城の5倍の高さに及びます。この巨大な風車が建つ土台となる部分の地形や地質のことを知った以上、この地にこれだけ大規模な風車建設が進むことは非常に危険だと言わざるを得ません。何よりも、市民の命と利益を守ることが最優先だと考えます。何かが起きてからでは、取り返しがつきません。専門家も、これだけの危険性を指摘されているわけです。どうか、市民の命や財産を一番に考えた判断をお願いしたいと思います。  また、希少生物については、水俣市内で風車を建てようとしている山では、絶滅危惧ⅠB類に指定されているクマタカも確認されています。以前、産廃処分場建設の計画があった際にも、このクマタカの存在が処分場建設を中止に追い込む要因の1つとなりました。クマタカは、観察したどの山でも、風車が建設されようとしている周辺で飛行し、餌を探し、縄張りを守り、家族の絆を確認し生活しています。このような場所に巨大な風車が建てば、自分の生活圏で見たこともない異物が存在し、ぶつかれば死んでしまうかもしれない風車の羽根の存在、これは鳥類やクマタカにとって命の脅威となり、そこには住めなくなってしまいます。  環境省によると、クマタカは日本に1,800羽ほどしかいません。そのクマタカが、水俣には複数の地点に生息し、命をつないでいます。先日の観測会では、1つの地点で幼鳥が確認されました。今年の春にかえった幼鳥と思われます。クマタカが生息していくためには、安全が確保され、餌があることでこそ子孫を残せます。水俣の山には、その力があります。これは、人類の財産として守らなければならないと思います。一時期の利益の確保のために、貴重な自然を壊してしまうということは、やってはならないことです。私も実際、観測会に参加させていただきましたが、その優雅な飛行姿に感動いたしました。クマタカの生存には、豊かな自然環境が必要不可欠です。森林を保全するためにも、風車建設は中止の方向へと進めるべきではないでしょうか。  また、水俣市環境基本条例には、水俣病の経験を貴重な教訓として、市民協働による主体的な環境まちづくりの実践によって良好な環境を確保し、海、山、川のつながりの中で維持されている自然環境を市民の生活基盤として次の世代へ引き継いでいくため、この条例を制定すると、このような文言があります。  ここ水俣市は、水の汚染による公害を経験した町です。悲惨な公害を二度と繰り返さないために、水俣病の教訓を発信し、また、環境モデル都市づくりを全世界へ発信してきたはずです。水は、生活の源です。その水を育む山を守るために、水俣だからこそ一層の努力を必要とされているのではないでしょうか。事業者による売電での収益が目的とされている本計画が、環境モデル都市にふさわしい計画とは思えません。再生可能エネルギーは、その利益が地域に還元され、環境破壊を起こさないような普及のあり方であるべきと考えます。  最後に、市長にお尋ねいたします。  何よりも、市民の命と自然環境を守ることが最優先とされるべきだと思います。事業者に対し、本計画を断念すべきと伝えられてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。  質問は、以上1点です。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 議員3回目の御質問にお答えいたします。  事業者に対して、中止をすべきということを言うべきではないかという御質問でございました。  現段階で判断できる状況ではないと考えております。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 次に、再生可能エネルギーを中心とした電力供給について答弁を求めます。  中谷総務企画部長。   (総務企画部長 中谷衛君登壇) ○総務企画部長(中谷 衛君) 次に、再生可能エネルギーを中心とした電力供給について、順次お答えします。  まず、令和元年9月議会において、地域新電力会社の設立に向けて「現時点での検討状況は、現行の枠組みでアーバンエナジー株式会社から電力の供給を受ける方法と新電力会社を設立して電力を受ける方法のおのおののメリット、デメリット、また設立に伴う課題の整理を行っているところ」とのことであったが、その後出されたメリット、デメリット、設立に伴う課題は何であったかとの御質問にお答えします。  まず、現行の枠組みで、アーバンエナジー株式会社から電力供給を受ける場合、電力供給範囲が市の公共施設に限定されるものの、システム経費や人件費といった新たなコストを発生させることなく、事業実施の目的である温室効果ガスの削減及びエネルギーの地産地消を推進することができます。一方、新電力会社を設立する場合には、事業の内容を自由に決めることができるので、市内企業や一般家庭とも契約をして電気を販売するというビジネスモデルとすることも可能です。しかしながら、その場合には、営業販売員を雇用するための人件費、営業所やシステムの運営に係る管理費などのコストを負担しなければなりません。さらに、コストに見合った利益を確保していく必要があり、常に経営リスクがつきまといます。  自治体新電力の草分けとされる、福岡県のみやまスマートエネルギーでさえも、令和2年度決算で1億2,000万円の債務超過に陥っており、電力事業の厳しさ、難しさがうかがえます。このような経営リスクを課題として考えております。  次に、市が保有する全ての施設で再生可能エネルギーを中心とした電力の導入を目標としておられるが、市有施設から広げる取り組みについて検討はしないのかとの御質問にお答えします。  現在、市が保有する全ての施設に、再生可能エネルギーを中心とした電力を導入するという目標に向けて取り組んでいるところです。まずは、この取り組みを着実に進めることが重要ですので、対象施設の拡大については、現時点で考えておりません。 ○議長(牧下恭之君) 平岡朱議員。 ○(平岡 朱君) 再生可能エネルギーを中心とした電力供給については、2017年2月に水俣市、JFEエンジニアリング株式会社、JNC株式会社の3者で、再生可能エネルギーを中心とした電源による水俣市の施設への電力供給実証試験に関する覚書を締結し、仮庁舎において電力供給が開始された後、2019年3月をもって試験期間を終了としていました。その後、議会の中でも何度かこの再エネを中心とした電力供給について質問がありましたが、その中で2019年9月議会においては、最初に質問しましたように、地域新電力の設立について、各々のメリット、デメリット、設立に伴う課題の整理を行うとしておられましたが、翌年の9月議会では、新電力会社については事業者との協議を行った結果、電力会社の切り替えによる再エネ導入を優先して進めていくこととし、新電力会社設立については検討していないとの答弁になっており、その間の経過が不透明であったため、当時出されていた課題等についてお尋ねさせていただきました。  確かに、経営リスクなどさまざま課題はあるかと思います。しかし、水俣市は以前、市民や企業を交えて円卓会議を開き、再生可能エネルギーの活用について議論されておられます。このように、市民とともに、お互いに知恵を出し合い、さらなる普及についての議論や検討も有効ではないでしょうか。  また、再生可能エネルギーを中心とした電力の導入を公共施設から広げる取り組みについては、やはり現時点では考えていないとのことでした。現在、公共施設への導入は100%ではなく、残りの課題を克服しながら、差し当たっては導入が可能な公共施設に対し拡大する取り組みを進めていく、このことはよく理解できます。ですが、その先の目標についても、今のうちに検討を進めていくべきではないでしょうか。  そこで、1点だけ質問いたします。  現在、水俣市とJFEエンジニアリング株式会社、JNC株式会社による3者協定は、公共施設への電力供給に限っての協定内容になっているわけですが、この協定の範囲内ではなく、この仕組みを生かして電力供給の範囲を公共施設から広げるという検討はできないでしょうか。  質問は、以上1点です。 ○議長(牧下恭之君) 中谷総務企画部長。 ○総務企画部長(中谷 衛君) 平岡議員の2番目の質問についてお答えいたします。  水俣市、JFEエンジニアリング、JNCの3者協定の仕組みを生かして、電力供給の範囲を市有施設から広げる検討はできないかとの御質問でした。  令和2年12月議会で答弁していますとおり、JNC株式会社から供給される水力発電由来の電力については、現在、供給を受けている市有施設に加えて、今後、供給を受けることを検討している市有施設を含めますと、そのほとんどを消費してしまいますので、これ以上、電力供給の範囲を広げることは考えておりません。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 平岡朱議員。 ○(平岡 朱君) やはり現在の仕組みを生かしての拡大は、検討も難しいとのことですが、例えば3者協定を結ぶそのうちの1者であるJFEエンジニアリング株式会社は、エネルギーの地産地消や地域活性化を目的に、全国の自治体と連携しながら地域新電力事業を拡大しておられます。また、鳥取県米子市にある地域新電力会社は、地元企業5社と米子市、お隣の境港市が出資してつくった官民連携の会社で、太陽光発電、小水力発電など、多様な再生可能エネルギーを活用して、再エネの地産地消を実現されています。地域から電源を集め、地域の需要家に流す地域内循環の仕組みをつくったことで、県外に流れていたお金が地域に戻ってきたといいます。担当者の方からお話を伺ったところ、全国的に見ると小さな自治体でも、周辺と一緒に地域の循環をつくっていくということもできる、住民合意を大切にしながら環境基本計画に沿った新たな施策づくりを進めていきたいと、そうおっしゃっていました。このように、条件はさまざまですが、事業が実施できている例もあります。  最後に1点だけお伺いします。  再生可能エネルギーを中心とした電力供給については、自治体の規模や市民の意識などさまざまな課題があります。だからこそ、そのような課題の克服も含めて、水俣市におけるさらなる再生可能エネルギー普及のための議論や検討を加速させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
     以上1点お聞きしまして、質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 中谷総務企画部長。 ○総務企画部長(中谷 衛君) 平岡議員3点目の御質問にお答えいたします。  再生可能エネルギー普及のためのさらなる議論や検討を加速させるべきだと、こういう御質問でした。  本市における再生可能エネルギーの普及に関しては、水俣市地方創生SDGs総合戦略会議において議論しているほか、他自治体の事例収集や民間企業との情報交換を進めており、どのような事業展開が可能なのか、スピード感を持って見定めてまいりたいと考えております。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 以上で、平岡朱議員の質問は終わりました。  この際、15分間休憩します。                                   午前10時20分 休憩                                   ─────────                                   午前10時35分 開議 ○議長(牧下恭之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、小路貴紀議員に許します。   (小路貴紀君登壇) ○(小路貴紀君) 皆さん、おはようございます。真志会の小路貴紀です。  職員の皆様におかれては、コロナ禍の影響が続く中で業務に追われ、年の瀬を迎えようとする今、子育て世帯への臨時給付金支給事業への対応など、大変な1年だったと思います。本定例会では、議員から職員へのねぎらいの言葉もあっておりますが、与党・保守系会派は、ワクチン接種の対応で多忙を極める状況に鑑みて、一般質問における職員の負担軽減や配慮を考えた対応を議会運営委員会で提案したものの、野党会派からは、市民を代表して質問する権利がある、議会側が職員への配慮を優先することは到底考えられないなどの強い主張がありました。ねぎらわれる気持ちがあれば、もっと早く行動に示される機会はあったのではと残念でなりません。  さて、新庁舎開庁が間近となりました。担当された職員や多くの業者の方々の御尽力に敬意を表します。市民の皆様が利用しやすく、そして新たな憩いの場になることを期待しております。  新庁舎建設の計画が持ち上がって間もない平成28年8月に、茨城県土浦市役所を視察しました。JR土浦駅前の大型ショッピング施設跡を再活用した庁舎でしたが、夏休み時期ということもあって、庁内に設けられた市民向けスペースの至るところで、高校生と思われる生徒たちが教科書や参考書を開いて勉強している姿を目にしました。静かで空調も快適であり、ドリンクなどの飲食も可能であることで、その光景に納得しました。  本市の第3期水俣地域福祉計画及び活動計画をはじめ、諸計画及び過去のアンケートなどには、高校生が放課後等に集まれるところや、安心していられる場所がないといった課題があげられております。地元の水俣高校生は、新庁舎建設に際してワークショップに参加してくれたり、2階に設置されるキッズコーナーに関わってくれました。しばらくすると、今の3年生の多くは水俣を離れることになります。大学進学等で、受験に向けた追い込みの時期でもあります。これから迎える冬休みや平日の放課後に、1階の市民交流フロアが大いに活用され、勉学に励んでもらえる場になればと思います。自分の生まれ育ったこの水俣に誇りを持ってもらう象徴の施設として、高校生などの出入りが絶えない、従来の庁舎にはなかった、ほっこりとした光景が見られるようになるためには、平日の閉庁時間や土日の開閉庁の可否など検討課題もあるかと思いますが、ぜひとも若い世代が立ち寄りやすい市役所になればうれしい限りです。  では、通告に従い質問します。  1、市政報告会について。  市長就任後、任期の4年を迎えようとしております。多くの分野で多岐にわたる事業を進められてきた中、以下質問します。  11月21日を皮切りに各地域で市政報告会が行われているが、市長から市民の皆さんに伝えたいことは何かお尋ねします。  2、移住定住の推進策について。  人口減少及び少子高齢化が進行している本市において、重要施策の1つと認識しています。私自身も強い関心を抱いておりますが、過去の経緯も踏まえて以下質問します。  ①、令和元年12月議会において、空き家を新たな宅地として活用を促すためには、市独自で固定資産税減免の特例措置の対応ができないかと質問した際、今後検討してまいりたいとの答弁があったが、その後の検討状況はどうなったかお尋ねします。  ②、除却した市営住宅の跡地など、遊休の市有地を若者世代向けの宅地として払い下げることで、意図した定住策を推進することも必要と考えるが、いかがかお尋ねします。  3、みなくるバスについて。  財源の課題がありながらも、組替えなどの工夫を凝らした上で運賃無償化を実現した市長の英断を評価しつつ、以下質問します。  ①、本年9月より運賃無償化が始まったが、無料回数券の交付状況はどうかお尋ねします。  ②、無料回数券の利用状況はどうなっているかお尋ねします。  4、エコパーク水俣を中心とした経済効果の創出について。  再整備中の道の駅みなまたのみならず、新たな取り組みとなるスポーツコミッションといった組織体制との相乗効果が期待される中、以下質問します。  ①、道の駅みなまたの再整備を機に、局地的ではなく市全域により大きな経済効果を生み出す必要があるが、具体的な施策をどのように考えているかお尋ねします。  ②、スポーツコミッションの取り組みも経済効果の波及に寄与すると期待される。12月より始動すると聞いているが、短期的・中長期的なロードマップや大会誘致数など、どのようなビジョンを描いているかお尋ねします。  5、マンガ県くまもとについて。  漫画やアニメは、世界の人が初めて触れる、日本文化を代表するものの1つですが、以下質問します。  ①、マンガ県くまもとの取り組みとはどういうものかお尋ねします。  ②、本市出身の漫画家である江口寿史氏が11月13日に市観光大使の第1号として任命された。マンガ県くまもとに対する本市のスタンスはどうかお尋ねします。  以上、本壇からの質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 答弁を求めます。  髙岡市長。   (市長 髙岡利治君登壇) ○市長(髙岡利治君) 小路議員の御質問に順次お答えします。  市政報告会エコパーク水俣を中心とした経済効果の創出については私から、移住定住の推進策については副市長から、みなくるバスについては総務企画部長から、マンガ県くまもとについては産業建設部長から、それぞれお答えします。  初めに、市政報告会についてお答えします。  11月21日を皮切りに各地域で市政報告会が行われているが、市長から市民の皆様に伝えたいことは何かとの御質問にお答えします。  私は、市民の皆様に市政報告会を通して、今の市政がいかに市民生活の向上を図るのか、どのように地域を活性化させようとしているのか、より深く御理解いただきたいと考えています。市長就任以後、引き継いだ厳しい財政状況の中で、財政の立て直しとともに、高校生までの医療費の無償化や、工場の新設を伴う20年ぶりの企業誘致、75歳以上の方や障がいのある方のみなくるバス無償化など、市民生活の向上や水俣市発展のために向けた多くの取り組みを実施し、実現してまいりました。  この3年9カ月は財政再建、つまり守りとともに市の活性化、攻めを両輪として市政運営を行ってまいりました。今回の報告会では、限られた時間の中ではありますが、市の財政状況とともに、この3年9カ月の取り組みを御報告させていただいているところです。加えて、水俣市が人口減少と高齢化の進行という最大の課題を乗り越え、生き残っていくために必要なビジョンとして、外貨を稼ぐ水俣市や選ばれる水俣市など、将来に向けた取り組みのイメージもお話しさせていただいています。  繰り返しになりますが、市民の皆様には報告会を通して、今の市政がいかにして市民生活の向上と地域の活性化の実現を目指しているか、より深く御理解いただきたいと思います。一方で、市民の皆様のお知恵もいただきながら、水俣市に関わる全ての人々が一丸となって、地域発展に向けたさまざまな取り組みを理解していただき、進めていくことが重要であると考えています。  報告会は市政に対して、直接市民の皆様のお声を聞くことができる大切な場であると認識しております。先日の報告会では、空き家を移住希望者向けの体験宿泊に使えるのではないかなどの具体的な御提案もいただきました。このように、さまざまな提案もいただきながら、水俣市の今後のビジョンをつくり上げていきたいと考えておりますので、市民の皆様には、ぜひ報告会に御参加いただき、意見をおっしゃっていただきたい。そのような思いも込めて、現在、市民の皆様に対し市政の報告をさせていただいているところです。  新型コロナの感染拡大の状況により、当初予定していた9月末頃からのスケジュールがずれ込みはしましたが、11月21日からスタートし、最終日の12月26日まで市内15カ所、9日間に分けて実施を予定しております。多くの市民の皆様に御参加いただけることを願っております。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) 私は、市政報告会に足を運び拝聴いたしました。参加された方々からは、お住まいの地域課題もあれば、市政を俯瞰した課題などについて、高い関心を持って意見や要望を申し述べられていました。もちろん、解決を望む要望もあれば、まずは聞いてもらって、現状を知ってほしいとする地域課題への共感を求める意見等もあったと認識しております。  市政報告会で説明された内容については、以降の質問を踏まえ、個別に確認したいと思っておりますので、この質問は終わります。 ○議長(牧下恭之君) 次に、移住定住の推進施策について答弁を求めます。  小林副市長。   (副市長 小林信也君登壇) ○副市長(小林信也君) 次に、移住定住の推進策について順次お答えします。  まず、令和元年12月議会において、空き家を新たな宅地として活用を促すためには、市独自で固定資産税減免の特例措置の対応ができないかと質問した際、今後検討してまいりたいとの答弁があったが、その後の検討状況はどうだったかとの御質問にお答えします。  空き家を新たな宅地として有効に利用するため、他自治体の事例などを踏まえて検討を行ってまいりました。しかし、市独自の固定資産税の減免につきましては、減免される土地とそうでない土地で固定資産税額が異なることになりますので、税負担の公平性の観点を踏まえると、移住定住支援策として税の減免を行うことは難しいと考えます。  次に、除却した市営住宅の跡地など、遊休の市有地を若者世代向けの宅地として払い下げることで、意図した定住策を推進することも必要と考えるが、いかがかとの御質問にお答えします。  市有地の売却については、地方自治法施行令の規定に基づき、一般競争入札による公売を行う必要がありますので、現行の制度においては、若者世代に限定して売却を行うことはできません。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) 単純に法の壁で片づけたくはありませんが、自治体の独自性を発揮できないもどかしさを感じました。市有地の売却については、意図的に若者世代だけを対象にすることはできないとの答弁でしたが、売却地の所在によっては、若者世代が興味を示す土地物件もあると思います。公売の情報公開に際しては、若者世代へ購入を後押しするような、水俣市が若者世代に定住してほしいと願っているような、そういった意図を伝えるメッセージ的なものを記載することは問題ないと思いますので、今後はそういった工夫をお願いいたします。  市独自の固定資産税の減免については、過去の経緯等を踏まえ確認させていただきました。小規模住宅用地、いわゆる一軒家が空き家であり続けても、固定資産税の課税標準額を6分の1の額とする特例措置が継続される。更地にすると6分の1の額とする特例措置が除外されることから、所有者にとっては固定資産税の負担増になってしまう。このことこそが、空き家の解消につながらない要因の1つであるならば、空き家を解体し、新たな宅地として更地化され、市場に流通させる目的の土地であれば、一定期間、固定資産税の課税標準額を6分の1の額とする特例措置を市独自で行えないかというのが過去に質問した趣旨でした。  水俣で生まれ育った人の定住、市外からの移住定住、あるいは一旦水俣を離れた人が帰ってきての定住など、水俣に住んでもらわないと意味がありません。平成27年度に実施された空き家の実態調査では1,171件となっており、市の世帯総数の10%ほどを占めております。市街地を中心とした周辺地域に、思った以上に空き家が存在します。空き家バンクに登録される物件は、築年数が経過した古いものが多いため、そのままの利活用は難しく、リフォームするにも費用が伴いますので、移住者等がメリットを享受するには至らないケースが多いと思われます。平地が少なく、近隣自治体よりも土地の割高感がある水俣の土地柄からか、若者世代が持ち家を機に近隣自治体へ流出することも少なくありません。空き家の利活用よりも、空き家となっている土地物件を新たな宅地として、若者世代が選択してくれることで、市外への流出に歯止めをかける取り組みが重要と、個人的には強く認識しております。今後のインフラコストやコンパクトシティーを目指す上では、市街地周辺が適しておりますし、農業とセットで考えれば、山間部の選択肢も可能性としてあります。  日頃、市内を車で走り回りますが、空き家らしき土地物件の中に倒壊しそうなもの、管理不衛生の状態のものもみかけます。  そこで、質問します。  これまで、管理不十分な空き家等で、特定空き家への指定、その後に勧告及び固定資産税減免の特例措置が除外された物件は、それぞれ何件あるかお尋ねします。  髙岡市長就任後、学校給食費の一部助成、18歳までの子ども医療費無償化、スポーツキッズサポーター制度など、子育て世代への支援策が充実されてきました。  そこで、2点目の質問です。  子育て世代等に住み続けてもらうためにも、若い方々から共感してもらえる施策及び補助制度を考えているかお尋ねします。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 小林副市長。 ○副市長(小林信也君) 小路議員の2回目の御質問にお答えします。2点ございました。  まず1点目の、これまで特定空き家に指定され、その後に勧告及び固定資産税減免の特例措置が除外された物件はそれぞれ何件あるかとのお尋ねでした。  議員御承知のとおり、管理不適切空き家等については、所有者等などに連絡して、まず対応を求めるなど情報提供を行い、必要に応じて市が特定空き家等に認定し、助言、指導や勧告などの措置を実施します。勧告を受けた特定空き家等の敷地については、住宅用地に対する固定資産税を、200平米以下は6分の1に、200平米を超える部分については3分の1に減額する特例措置の対象から除外されます。  御質問の、特定空き家等への認定は、これまで令和元年度に2件、令和2年度に1件、令和3年度に1件の計4件を認定しております。その後、勧告まで至っている特定空き家等はありません。これら4件の物件のうち1件については、既に老朽危険空き家除却促進事業補助金を活用し除却されております。その他3件については所有者が死亡し、多数の相続人がいる物件であり、相続人に対する助言、指導、勧告に向け、相続人の探索、特定を進めているところです。また、これまで特定空き家等に対し勧告を行った例がないため、住宅用地に対する固定資産税の特例措置の対象から除外された物件はありません。  次に、2点目の、子育て世代などに住み続けてもらうためにも若い方々から共感してもらえる施策や補助制度を考えているかとのお尋ねでした。  水俣の若者の多くは、就職や進学のために熊本市や鹿児島市などに引っ越してしまいます。しかしながら、その後、結婚、出産、子育て、親の介護、相続などの諸事情により、仕事を続けられるのであれば水俣に戻りたいと考える人も少なからずいるはずです。幸いなことに、水俣には新幹線や南九州西回り自動車道といった恵まれた交通インフラがあるので、熊本市や鹿児島市まで通勤することは十分可能です。例えば、通勤に係る費用の一部を補助するなど、市が政策的に支援をすれば、水俣に戻ってくる人は増えると考えます。このように、若者や子育て世代に水俣に住むことを選んでもらうための支援策が必要なことは議員御指摘のとおりです。  令和4年度予算編成方針においては、こうした新たな施策を実施するための予算の特別枠として、水俣未来投資枠を創設しました。この特別枠を利用して、若者や子育て世代向けの新たな支援策を実施できるよう、現在、検討を進めているところでございます。  答弁は以上です。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) これまで特定空き家等の認定はあるものの、勧告及び特例措置の除外までには至っていないとのことでした。しかしながら、しっかりと調査すれば、勧告に値する土地物件は、本来もっとあるはずというのが私の率直な感想です。空き家所有者にとっては、勧告等により固定資産税の特例措置が除外されれば厳しい対応と受け取られかねませんが、一方で資産を手放すきっかけになれば、新たな宅地として市場に流通してもらえる期待につながります。  水俣市空き家等対策計画に沿った取り組みが形骸化してはいけませんし、もしも固定資産税減免の特例措置を除外すべきと思われる物件が現状のままだとすれば、税負担の公平性は保たれていないとも言えます。築年数が経過した空き家家屋の資産価値が目減りし、土地の固定資産税を課税標準額の6分の1の特例措置の状態が続くよりも、新たな宅地として生まれ変わり、若者世代が新築して住み続けてくれれば、同じ土地からの固定資産税の収入が増えることから、本市の自主財源の確保にもつながるのではないか、将来的に目に見える効果がはっきりしているのではないか。であるならば、独自の施策を考える意義はあるのではないかというのが、私の思いの根底にあります。  先日の市政報告会で、水俣に住まいがあり、市外へ働きに出られている女性から、現在の子育て世代への支援策が充実していること、市長が掲げられた外貨を稼ぐ水俣市のビジョンに共感する意見もありました。先ほどの答弁で、水俣未来投資枠といった新たな構想もお示しいただきました。現在の子育て世代への支援策と併せて、これらの施策の効果を高めるためにも、空き家等を含めた土地の確保や流通が定住移住策を進める上で重要なファクターになると考えております。私もない知恵を絞りますが、水俣市空き家等対策の適正な運用並びに土地の確保や流通の面で本市のオリジナリティーが発揮できるよう、今以上に注力していただくことをお願いしまして、この質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 次に、みなくるバスについて答弁を求めます。  中谷総務企画部長。   (総務企画部長 中谷衛君登壇) ○総務企画部長(中谷 衛君) 次に、みなくるバスについて順次お答えします。  まず、本年9月より無償化が始まったが、無料回数券の交付状況はどうかとの御質問にお答えします。  本年9月から、公共交通サービスの向上と高齢者などの積極的な社会参加及び健康増進に寄与することを目的に、満75歳以上の高齢者や重度の障がいがある方々を対象とした、みなくるバスの運賃無償化を、回数券方式にて開始しております。無料回数券の交付状況につきましては、11月末時点で延べ715回の交付申請が行われており、その内訳としましては、75歳以上の申請が延べ682回、障がいがある方々の申請が延べ33回となっております。このうち、延べ72回が再交付申請です。  次に、無料回数券の利用状況はどうなっているかとの御質問にお答えします。  利用状況につきましては、9月と10月の2カ月間のみなくるバスの延べ利用者数1万4,098名に対し、42%の5,933枚、無料回数券を御利用いただいております。また、無料化が開始される前の本年8月のみなくるバス利用者数と比較したところ、9月が13%増加、10月が22%増加となっております。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) 運賃無償化は本年9月からスタートしたばかりで、まだ日も間もないところですが、直近の利用者の増加につながっていることからしても、成果の即効性が表れております。運賃無償化対象者の利用が増えれば、みなくるバスの利用収益は減ることにはなりますが、高齢者のひきこもりを回避したり、気軽に出かけられる生活の足を確保することが重要な視点だと考えますので、財源確保の工夫をしながら事業の継続をお願いしたいと思います。運賃無償化と併せて、みなくるバスの利便性向上を高めるためには、運行ルートの見直しもその1つです。万人が利用しやすいルートの設定は甚だ困難ですが、9月議会において岩村議員及び木戸議員からも質問があり、過去にも課題が指摘されておりました。12月1日号の「広報みなまた」に運行ルートの見直し等が掲載されておりましたが、担当課におかれては、関係先との協議や調整を鋭意行われたと思います。  そこで、1点のみ質問します。  運行ルートの見直しについて、重点的に検討した内容はどうかお尋ねします。 ○議長(牧下恭之君) 中谷総務企画部長
    総務企画部長(中谷 衛君) 小路議員、2回目の質問にお答えいたします。  みなくるバスの運行ルートについて、重点的に検討した内容はどうかという御質問でした。  みなくるバスの運行ルートの見直しについては、本年10月の水俣市地域公共交通会議により審議・決定されたところであり、令和4年1月4日から新ルートでの運行が始まります。今回、重点的に検討し見直したポイントは次の3点です。  1点目は、病院や福祉施設が多く立地する古賀町方面への路線の延伸です。白梅の杜や渕上クリニック、緒方眼科などに通うことができ、みなくるバス利用者の利便性が向上します。  2点目は、利用が低迷する市街地循環線の廃止です。1便当たりの利用者数が1.7人と廃止基準を下回っており、また、新水俣駅から市街地へのアクセスは産交バスで代替可能なため廃止します。  3点目は、水俣市役所新庁舎への全路線の乗り入れです。市役所の移転に併せて、水俣市役所停留所を市内各所へアクセスするための乗り継ぎ拠点として整備します。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 次に、エコパーク水俣を中心とした経済効果の創出について答弁を求めます。  髙岡市長。   (市長 髙岡利治君登壇) ○市長(髙岡利治君) 次に、エコパーク水俣を中心とした経済効果の創出について、順次お答えします。  まず、道の駅みなまたの再整備を機に、局地的ではなく市全域により大きな経済効果を生み出す必要があるが、具体的な施策をどのように考えているかとの御質問にお答えします。  道の駅みなまた再整備は、総合プロデューサーである砂田光紀氏の監修の下、水俣の旬に出会える「Shop&Cafeミナマータ」や、天候に左右されず子どもたちが木のぬくもりの中で思い切り遊べる「みなまた木のおもちゃ館きらら」、そして、24時間御利用いただける、きれいで使いやすいトイレや休憩スペースを備えたインフォメーションセンターなど、魅力ある施設群を創造することで、都市部からの交流人口の増加と本市の経済効果の活性化を目指しております。  この効果を市全域に波及させるため、道の駅みなまたやエコパーク水俣にお越しいただいた方々に、本市の観光スポットやグルメ、アクティビティをはじめ、先日、本市の観光大使に就任された、漫画家・イラストレーターである江口寿史氏ゆかりの場所などを積極的に紹介しつつ、アクセス方法や近隣の宿泊施設、飲食店、小売店などの情報も併せて紹介し、市内周遊を促すことで市全域に、より大きな経済効果を生み出す仕組みを構築してまいります。なお、「Shop&Cafeミナマータ」の商品の充実と、地元農家をはじめとする事業者の所得向上を図るため、新たな商材の確保や販路開拓、新商品の開発などにつきましても、道の駅みなまた再整備と併せて取り組んでいるところです。  次に、スポーツコミッションの取り組みも経済効果の波及に寄与すると期待される。12月より始動すると聞いているが、短期的・中長期的なロードマップや大会誘致数等、どのようなビジョンを描いているかとの御質問にお答えします。  スポーツコミッションの取り組みにつきましては、スポーツイベントや合宿などの誘致を行うことで、地域経済や地域スポーツの活性化につなげていくことを目的として、今月の24日にスポーツコミッションみなまたを設立いたします。これまで設立に向けて、本年9月に誘致関係者や宿泊、飲食等の関係者に委員として御就任いただき、準備委員会を設置し、現在の大会、合宿等の受け入れ状況について意見交換を行ったほか、これまで2回の勉強会を重ね、課題や取り組みの方向性等について共有することができました。  令和3年度の受け入れ実績としましては、新型コロナウイルス感染症の影響もありましたが、今年の7月から11月末までの5カ月間で、エコパーク水俣では22件の大会、合宿等の受け入れを行っており、そのうち宿泊を伴うものが8件、日帰りが14件、延べ参加数といたしましては約4,500人となっております。観光庁が発表する都道府県別の観光消費額を参考に、これらの大会等の受け入れに伴う経済効果を推計したところ、約3,700万円の経済効果につながることになりますが、現状としましては、宿泊受け入れが市内宿泊施設だけで対応できないため、約半数は近隣市町での宿泊となっており、宿泊に伴う飲食等も含めると、約1,700万円を近隣市町で受け入れていただいている状況と思われます。  このような状況を踏まえ、今後は市内での宿泊受け入れの強化や、飲食、お土産といった、さらなる地域経済への波及効果につなげるための取り組みを進めるとともに、新たな大会、合宿等の受け入れといった誘致件数の拡大につなげるための活動を進めてまいります。併せて、合宿等とキッズスポーツクラブなど、地域のスポーツ団体との連携に努めることで、競技力向上や活性化、子どもたちの健全育成といったスポーツ振興につなげてまいります。  なお、設立後、当面の活動計画といたしましては、令和4年2月に、ソフトテニス大会やサッカー教室、3月に硬式テニス大会の受け入れ等を予定しております。また、中長期的なロードマップや大会誘致数等のビジョンにつきましては、今後、スポーツコミッションみなまた内で協議を行いながら、設立までにお示ししたいと考えております。  日本体育大学との体育スポーツ振興に関する協定や地元のスポーツ関係者等が持つネットワーク、SUPなどのマリンアクティビティの取り組み、さらにはエコパーク水俣内で現在工事が進んでおります道の駅みなまたなど、活用できる資源を最大限に活用し、関係者の皆様と連携してスポーツコミッションの取り組みを積極的に推進してまいります。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) 道の駅の再整備を経て、来春にはグランドオープンを迎えられるめどが立ち、本市への経済波及効果を大いに期待する1人です。当初は、南九州西回り自動車道水俣インターチェンジの開業に合わせた計画でしたが、再整備の具体的中身や工事予算、財源、運営方法などがなかなか決まらず、いつの間にかブラックボックス化していきました。髙岡市長就任後に工事予算が大きく膨れ上がり、水俣インターチェンジの開業に、ただ間に合わせることだけが目的化してしまっていることも明るみとなりました。髙岡市長が一旦立ち止まり、ゼロベースで再考した結果、インフォメーションセンターのトイレ改修をはじめ、新たな物産館の建設や既存施設のおもちゃ館への改修など、当初の計画以上の施設整備が実現し、木材価格の高騰によるウッドショックの影響を受けながらも、膨れ上がっていた工事予算を大幅に削減できたことは、市長、副市長、担当課職員の尽力の賜物であり、大いに評価されるべきと考えます。あんまり持ち上げるのもよく思われませんので、引き続き気を引き締めて、よりよい施設整備に努めていただくよう申し添えます。  私たち真志会は、10月24日にオープンした徳島県の木のおもちゃ美術館を視察してまいりました。以前のアクアリウムを改修し、広さや設備も申し分なく、市長も視察された東京おもちゃ美術館のコンセプトを継承した施設です。私たちが訪問したのは、平日の午後の時間帯でしたが、親子連れが50組ほど遊んでおられました。また、数カ所の道の駅も視察し、本市と同様に恋人の聖地に認定されている香川県の道の駅うたづ臨海公園に立ち寄った際、そこのトイレにグッドデザイン賞の受賞プレートが掲示されているのが目にとまりました。グッドデザイン賞といえば、生活用品や雑貨が授賞されることが多いのは知っていましたが、調べてみますと、道の駅でグッドデザイン賞を受賞しているのはほんの僅かであり、今のところ九州内ではゼロのようです。  髙岡市長市政報告会で、インフォメーションセンターの改修により日本一のトイレを目指す気持ちがあることもおっしゃっています。  そこで、質問いたします。  道の駅のリニューアル整備に当たり、グッドデザイン賞を受賞できれば、施設の付加価値向上及び集客増に寄与すると思うが、市として取り組む考えはないかお尋ねします。  これから動きだすスポーツコミッションですが、現在、軌道に乗っている日本体育大学との連携や、スポーツキッズサポーター制度をスポーツコミッションに一元化できれば、他の団体とは違った先駆的な組織体制が整うのではと想像しておりますので、組織化を機に取り組みのモディファイをお願いいたします。  エコパーク水俣へ市外から大会等で訪れてもらう方々には、お昼の弁当が必要になる場合がありますが、現状は市内の仕出し弁当業者に波及しているとは、残念ながら言えません。スポーツ庁が定義するスポーツコミッションの理念に、スポーツによる地域経済の活性化があげられており、一過性ではなく継続性が求められています。やり方や考え方を工夫しさえすれば、エコパークを中心として地域へ波及効果を生み出すことはできるのではないかと思う次第です。  そこで、2点目の質問です。スポーツ大会等での弁当の提供について、市内業者との連携によって、道の駅で対応できる体制を整えていく必要があるのではないかお尋ねいたします。  以上、2点です。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 小路議員2回目の御質問にお答えいたします。  まず、1点目が、道の駅のリニューアルに伴ってグッドデザイン賞を取る気持ちはないかということでございました。  今おっしゃられましたグッドデザイン賞とは、公益財団法人の日本デザイン振興会が主催をされているもので、一人一人が豊かに、創造的に生きられる社会を目指すため、製品や建築、システム、サービスなどを対象に、そのデザインを評価・顕彰する制度と認識をいたしております。毎年、グッドデザインベスト100などの発表があり、デザイナーや設計士の方々だけでなくて、一般の消費者からも注目を集めておりまして、道の駅みなまた再整備の総合プロデューサーであります砂田光紀氏が関わった山口県長門市の長門おもちゃ美術館がある、道の駅センザキッチンなど、複数の道の駅におきましてもグッドデザイン賞の受賞を確認いたしております。  リニューアルする道の駅みなまたの付加価値や集客力の向上に寄与する取り組みの1つと考えられますが、審査料や使用料などの費用を伴いますので、道の駅みなまたを運営する株式会社みなまたとも相談をしながら、グッドデザイン賞へのエントリーについては前向きに検討したいと考えております。  2点目の、エコパークにおけるスポーツ大会等で弁当の提供など、市内業者との連携で、その道の駅で対応できる体制を整えていく必要があるのではないかという御質問でありました。  エコパーク水俣では、県内でも有数のスポーツ施設が充実をした都市公園でもありまして、毎年多くの方がスポーツ大会やイベント等で利用をされております。道の駅みなまたを運営する株式会社みなまたからは、最近は弁当やパン、総菜などの取り扱い量を増やしており、今後はエコパーク水俣で開催されるスポーツ大会等の情報を積極的に収集しつつ、市内業者と連携しながら、弁当を提供できる体制を整えていきたいと伺っております。  スポーツ大会等の経済効果を地域に波及させるためにも、ハートリンク水俣や市内の仕出し業者など、道の駅が連携して商機を逃がさない体制となるよう、市としても協力してまいりたいと考えております。  なお、キッチンカーや出店などによる料理の提供につきましても、利用者の満足度向上につながると思いますので、使用許可の弾力的な運用について、ハートリンク水俣に働きかけてまいります。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) グッドデザイン賞へのエントリーについては、熊本県ではなく九州での第1号を目指すとの意欲を内に秘めた前向きさを望みます。  道の駅を窓口とした市内の仕出し弁当業者との連携について、積極的な考えが伝わってきましたので、よろしくお願いいたします。賛同いただける市内業者の個性や実力をまず把握しつつ、同業者同士で忌憚のない意見交換を行い、栄養面や消化しやすい、スポーツに適した材料の選定、結果的には(仮称)スポーツ弁当のように価格を統一したスタンダードな弁当をつくり上げる。大きな大会ともなれば数百個にも及びますので、数社の業者に振り分ける場合があっても、弁当の中身の優劣差を回避することもでき、業者の原価等についても影響が抑えられるメリットがあると思います。何よりも、広いエコパーク水俣内で、場所を指定さえすれば市内業者が配達してくれるサービスは、利用者に好評を得ると考えます。道の駅のリーダーシップで市内業者を守り立てて、市内への経済効果を生み出す新たな取り組みにつなげていくためにも、スポーツコミッションの中でしっかりとした組織づくりを図ってほしいと願います。  経済効果を創出するためには、市外から多くの人が、道の駅を中心にエコパーク水俣へ訪れていただく必要があります。そういった観点から、私は過去の一般質問の中でいろいろ提言させていただきました。バス旅行者が休憩等で立ち入りやすいトイレの整備は実現いたします。県内及び九州内のバス会社や旅行企画会社へ、立ち寄りやすい施設であると認知してもらうための積極的なPR、Shop&Cafeミナマータ内に江口寿史氏の漫画コーナーを設けて、コーヒーを飲みながら過ごしてもらう。パーゴラの活用策として、市内生産者の協力でバーベキューの材料をそろえる。幸運、子宝、安産、航海安全のシンボルと言われる、タツノオトシゴをモチーフとした木のおもちゃ館のロゴやグッズの製作、木のおもちゃ館を支えてくれる市民サポーター制など、厚かましいとは思いつつも再度述べさせていただきましたが、経済効果の創出に全力で取り組んでもらうことを熱望し、この質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 次に、マンガ県くまもとについて答弁を求めます。  本田産業建設部長。   (産業建設部長 本田聖治君登壇) ○産業建設部長(本田聖治君) 次に、マンガ県くまもとについて順次お答えします。  まず、マンガ県くまもとの取り組みとはどういうものかとの御質問にお答えします。  マンガ県くまもとの推進母体となるくまもとマンガ協議会が、熊本大学、熊本日日新聞社、くまもとDMC、NPO法人熊本マンガミュージアムプロジェクト、熊本県の呼びかけにより、令和3年10月24日に結成され、本市も会員となっております。マンガ県くまもとの取り組みは、「マンガ・アニメの文化的な視点からの保存・研究、検証・発信」「将来の担い手となる人材の育成」「マンガ・アニメによる新たな観光・経済活動の創造と地域の再生・振興、元気づくり」の3つの柱を中心に、その輪を広げていくもので、マンガといえば熊本となるように、国内外に発信していくことを将来的な目的としております。本年度は、当協議会の中で勉強会を行い、次年度以降に具体的な事業展開を図れるよう、協議会での議論を重ねていくと伺っております。  次に、本市出身の漫画家である江口寿史氏が11月13日に市観光大使の第1号として任命された。マンガ県くまもとに対する本市のスタンスはどうかとの御質問にお答えします。  先の御質問でお答えしました、くまもとマンガ協議会の勉強会には本市も参加しておりますので、本市への誘客につながる事業展開となるよう積極的に関わっていきます。その中で、観光大使である江口寿史氏の持つさまざまな実績やノウハウなどについても、活用させていただきたいと考えております。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) 既にくまもとマンガ協議会の会員とのことで、今後は外部のいろんな情報を収集して、本市の観光・経済活動の創造につなげていただきたいと思います。また、本市の観光大使に就任いただいた江口寿史氏から最大限の協力が得られるよう、現在の良好な関係づくりを引き続きお願いします。  そこで1点質問します。  マンガ県くまもととの連携によって、本市にもたらされる期待や効果は何かお尋ねします。 ○議長(牧下恭之君) 本田産業建設部長。 ○産業建設部長(本田聖治君) 小路議員の2回目の御質問の、マンガ県くまもととの連携による本市への期待や効果についてお答えします。  本市では、これまで江口寿史氏の協力により、本市観光PRポスターの作成や、同氏のイラストを活用した「でかくっかみなまたスタンプラリー」、またデザインマンホールの設置を行ってまいりました。今後は、くまもとマンガ協議会に参画し、ほかの自治体や民間団体と連携することで、本市単独で行うよりも効果的な誘客に期待をいたしております。  なお、具体的な事業展開につきましては、これから同協議会の中で検討していくと伺っておりますが、本市といたしましては、観光大使である江口寿史氏を中心に、その知名度を生かした事業が展開できるように取り組んでまいります。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 小路貴紀議員。 ○(小路貴紀君) 「熊本に令和のトキワ荘、アジア戦略を見据えた出版社が新時代の漫画家育成に本腰」という記事を以前、目にしました。トキワ荘と聞けば、言わずと知れた手塚治虫氏、石ノ森章太郎氏、赤塚不二夫氏、「おい、のび太」のジャイアンではなく、「ドラえもん」で有名な藤子不二雄氏ら著名な漫画家が居住していた聖地です。東京に本社を置く出版社コアミックスが、昨年秋、阿蘇郡高森町に漫画家らアーティストを育成する施設「アーティストビレッジ阿蘇096区」を開設し、これが令和のトキワ荘というものです。この出版社には、「北斗の拳」作画担当の原哲夫氏、「シティーハンター」の北条司氏も取締役を務めているとのことで、私たちの世代にはどはまりの方々です。  出版社の狙いに、日本人の若手漫画家の育成はさることながら、漫画産業が育っていない東南アジアの商圏開拓と、特に漫画熱が熱く、人口も日本の倍以上であるインドネシアを中心に、海外の漫画家志望者も受け入れるとしております。また、本年9月には、この出版社コアミックスが高森町、県教育委員会、高森高校と連携し、高校では全国初の、専門的に漫画を学べる学科の新設を目指すと報道されました。官民による環境整備、定員割れが続く学校の支援策、交流人口増や活性化を図る地域おこしといった相乗効果をもたらすこのすばらしい取り組みを知り、歯がゆい気持ちと、率直にやられたなと思いました。  県立高校となれば、県教育委員会を含め熊本県の所管となりますが、髙岡市長が就任された際に、地元唯一の県立水俣高校を、水俣市立の高校であるとの思いで支援されてきております。今はリモートで漫画が描ける時代と言われるようになり、昨日の桑原議員の一般質問のやり取りでもありました本市のインフラ整備も、インターネット光回線の未整備エリアが解消され、デジタル化社会に対応できる環境が整います。  漫画に限ってみれば、昨年のコミック市場規模は前年比23%増の6,126億円で、統計開始以来過去最大と言われており、これからの世界市場を考えれば、まだまだポテンシャルが高いと言えます。漫画、そしてアニメーションを中心としたこういった取り組みのセカンドベース、第2の拠点を呼び込むことは、髙岡市長のビジョンでお示しいただいたビジネスや生活拠点として、選ばれる水俣市に向けて、1つのモデル地域実現ともマッチします。マンガ県くまもとや関係機関と連携していく中では、答弁でありました積極的なアイデアと併せて、本市のすばらしさのPR、誘致並びに交流人口増に直結する果実を得られるよう、今後の頑張りと成果を期待しつつ、進捗を見守りたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 以上で、小路貴紀議員の質問は終わりました。  この際、午後1時30分まで休憩します。                                   午前11時27分 休憩                                   ─────────                                   午後1時30分 開議 ○議長(牧下恭之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、岩阪雅文議員に許します。   (岩阪雅文君登壇) ○(岩阪雅文君) こんにちは。市政創造クラブの岩阪雅文です。よろしくお願いいたします。  誰もが元気よく、生きがいを持って楽しく暮らすことのできるまちへを目指して、髙岡市政の誕生から今年で1つの節目である4年目になりました。しかし、新型コロナ感染症対策の中、市政運営には、市長をはじめ職員の皆様方の御苦労に対しまして、改めて感謝を申し上げます。  さて、そのような中でも、市政運営についてはひとときの停滞も許されません。そこで、市政運営の柱の1つでもある本市の財政状況について、冒頭ではありますが、その内容について、情報に乏しい面もありますので、以下3点について質問します。  1、令和3年度は当初予算の20%カット、令和4年度は骨格予算ではあるが10%のカットを市民にも知らせて危機状況を明らかにしているが、令和4年度から3年程度の緊急対策を取りまとめ、打ち出すべきではないかと思いますが、いかがか。  2、緊急財政対策については、市民にわかりやすく公表し説明すべきと思うがいかがか。  ③、本市の財政状況を踏まえ、市民をはじめ職員の危機意識・意識改革を高めるためにも「財政危機緊急事態宣言」をすべきと思うが、いかがか。  2番目に、小中学校の一貫教育具体的推進について質問をします。  小中一貫教育の推進については、私は、平成28年3月定例会以来2回目となります。これまで、市長の議員時代の質問をはじめ、それぞれ多くの議員が質問し、実現に向けてのその動向について関心の高さを示すものではないかと思います。既に、県内では実践過程の自治体も多くなり、本市の実践についても期待されているところであります。これまで推進に向けてのあり方が中心でしたが、その後、実現に向けモデル校を指定し取り組みが研究されている段階です。  そこで、次の点について質問します。  1、水俣市のこれまでの取り組みについて。  2、推進体制は、どう構築されているか。  3、これまでの取り組みの成果と課題について。  4、今後の展望についてをお伺いいたします。  3、市長の公約や施策等の達成と実現度について。  先ほど申し上げましたように、髙岡市政のスタートに当たって、選挙公約も多くの政策を掲げられました。しかし、今年度の1つの節目として4年目になり、人口減、財政の悪化は避けられなかったわけですが、ここでの質問は、髙岡市政のスタートにあたって、平成30年6月号の市報に掲載された、決意に基づく具体的な個別の政策の一部ですが、以下質問します。  まず1点目、恋路島の問題ですが、1回目は政策の連続性と継続性の観点から質問し、市長も理解を示され、報告書も出されています。  そこで、1、恋路島の利活用と今後について、どう対処するのか。  2、幼稚園の認定こども園への移行支援について、本事業は厚生労働省、文部科学省の施策が混在しているが、順調に推移しているか。  3、水俣病被害者の救済支援について、さまざまな立場の人から話を聞いて、対話の機会をつくるとしているが、できたか。  4、最適な行政の実現について、実現できたか。  5、市役所の働き方改革について、どうできたか。  6、地域へ飛び出す公務員への応援はできたのか。  多少抽象的な面がございましたので、以上質問をいたしました。よろしくお願いいたします。  以上で、本壇からの質問を終わります。 ○議長(牧下恭之君) 答弁を求めます。
     髙岡市長。   (市長 髙岡利治君登壇) ○市長(髙岡利治君) 岩阪議員の御質問に、順次お答えします。  まず、水俣市の財政状況については総務企画部長から、小中学校の一貫教育具体的推進については教育長から、市長の公約や施策等の達成と実現度については私から、それぞれお答えいたします。 ○議長(牧下恭之君) 水俣市の財政状況について答弁を求めます。  中谷総務企画部長。   (総務企画部長 中谷衛君登壇) ○総務企画部長(中谷 衛君) 初めに、水俣市の財政状況について順次お答えします。  まず、令和3年度は当初予算の20%カット、令和4年度は骨格予算であるが10%のカットを市民にも知らせて財政の危機的状況を明らかにしているが、令和4年度から3年程度の緊急財政対策を取りまとめ、打ち出すべきと思うがいかがかとの質問にお答えいたします。  本市の財政につきましては、市民の皆様に御協力をいただいて、健全化に向けた努力を進めているところであり、経常収支比率については平成30年度、令和元年度に100%を超えていたものが、令和2年度決算では96.7%に改善し、実質単年度収支は、赤字が過去約4億円から7億円程度で推移していたものが約1,500万円に圧縮しており、改善に向かっている途上にあると認識しております。  改めて、議員御提案のような緊急の財政対策を取りまとめるよりも、現在の財政健全化に向けた取り組みを着実に前に進めていくことが重要と考えます。  次に、緊急財政対策については、市民にわかりやすく公表し説明すべきと思うがいかがかとの御質問にお答えします。  議員御提案のような緊急の財政対策を取りまとめることとなった場合には、御指摘のとおり、市民の皆様に公表し説明すべきものと考えます。  次に、本市の財政状況を踏まえ、市民を初め、職員の危機意識・意識改革を高めるためにも「財政危機緊急事態宣言」をすべきと思うがいかがかとの御質問にお答えします。  先ほど申し上げましたとおり、本市の財政は市民の皆様の御協力により、改善に向かっている途上にあります。万が一、現在進めている財政健全化への取り組みが停滞するような事態になれば、議員御提案の財政危機緊急事態宣言のようなことも必要と思われますが、市民の皆様の御協力により改善に向かっている今は、その時ではないと考えております。今後も、財政健全化を図りながら、市の活性化に向けた施策を積極的に展開していく、守りと攻めの両輪で市政を推進させてまいります。 ○議長(牧下恭之君) 岩阪雅文議員。 ○(岩阪雅文君) 御答弁いただきました。私は、やはりこの答弁では、執行部には本当に危機感があるのかというふうな答弁には聞こえません。確かに、経常収支比率は101%から96.7%に改善をいたしました。実質単年度収支は、赤字額が過去4億円から7億円程度に推移をしていたものから1,500万円に圧縮をできたということでございます。しかし、これは新型コロナ感染症によるイベント等の事業中止等による一時的な改善であって、本来の改善状況ではないというふうに私は思っております。しかも、実質単年度収支は平成23年度以降、10年連続して赤字を脱却していません。財政調整基金に至っては、平成29年度、約20億2,000万円ありましたが、平成30年度で11億8,000万円、令和元年度では5億4,000万円、このように急激に減少をしております。  今後は歳出面においてでも、大型事業あるいは施設の長寿命化、扶助費の中長期的な増加、庁舎等の起債償還金の増額が見込まれています。歳入面では、人口減少、自主財源の減収等で構造的に歳入の減少が続き、市全体では財政改善することなくますます悪化すると、令和4年度予算編成方針の中で徹底した予算の見直し、財政構造の変化、職員一人一人の危機意識を強調し、大変な危機感を示しております。  そこで、2番目の質問ですけれども、確かに緊急事態宣言は社会的な影響も考えられないではないと思います。しかし、令和3年度を財政健全化へ向けた1年目に位置づけて、20%シーリングだったわけですので、その意識を高める上でも、私は、緊急財政対策は策定してしかるべきだと思いますので、再度質問します。  次に、答弁の中で、万が一現在の財政健全化の取り組みが停滞するような事態とは具体的にどのような事態と受け止めてよいのか。  3番目、財政の健全化を図りながら、市の活性化に向け積極的に展開していくが、守りとは具体的にどのようなものか、また、攻めとはどのようなものか。  4、令和4年度は財政健全化に向けた2年目として、予算編成でさらに抜本的な財政改革を推進し、歳入歳出を徹底して見直すとしているが、期間は何年度までか、また、削減額の内容はどのようなものか。  以上、4点について質問をします。 ○議長(牧下恭之君) 中谷総務企画部長。 ○総務企画部長(中谷 衛君) 岩阪議員の2回目の御質問にお答えいたします。  4点お答えいたします。  1点目は、緊急財政対策を策定して取り組むべきということについて、再度質問するというものだったと思います。  先ほどお答えしましたとおり、本市の財政は改善に向かっている途上にあると認識しておりますので、改めて議員御提案のような緊急の財政対策を取りまとめるよりも、現在の財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要と考えております。  2つ目ですけれども、財政健全化の取り組みが停滞するような事態とは具体的にどのような事態かという御質問でした。  今後、大規模な自然災害の発生など、市民の生命と財産を守るため、一般財源で大規模な支出を行う必要が生じるような事態や、地方交付税を初めとした地方財政制度の見直しなどにより、現状とは異なる取り組みが必要となるような事態が考えられます。  3点目ですが、先ほどの答弁の中の、財政健全化を図りながら活性化をするということの守りと攻めとは具体的にどのようなものかという御質問でした。  守りとは財政再建の取り組みを、攻めとは市の活性化に向けた取り組みを指しています。具体的には、令和4年度予算編成方針において、裁量的経費について10%削減のシーリングを設定するほか、ふるさと納税のさらなる拡大に努めるなど、徹底した歳入歳出予算の見直しを行い、財政健全化に向けた2年目の予算とすることが守りです。一方、市の抱える課題解決に向けた施策として、人口減少、高齢化という新たな環境への適応、成長と分配の好循環の実現、デジタル化などの新技術の活用の3つの観点から成る水俣未来投資枠を設定し、市の活性化を図ることが攻めとなります。  4点目の御質問で、令和4年度予算編成方針で、歳入歳出を徹底して見直すとしているが、期間は何年度までか、削減額はどのようなものかという御質問でした。議員御指摘の予算編成方針は、地方自治法に定める会計年度独立の原則に基づき策定する毎年度の予算の編成方針を規定するものです。令和4年度予算編成方針は、令和4年度1年間の方針を定めたものです。削減額については予算編成作業を進めているところであり、現時点で具体的な金額をお示しすることはできません。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 岩阪雅文議員。 ○(岩阪雅文君) 今の答弁では、毎年の財政健全化の予定であり、1年間での分と、具体的にまだ内容は固めていないということでしたけども、財政状況を見る上での数値というのはいろいろあるんですけれども、先ほど言いましたように、実質単年度収支について見ますと、10年間も赤字が続いているのに手を打たなかった、私はこのことに非常に疑問を持っております。実質単年度収支の赤字が続いているということは、毎年度予算の資金ショートが起きているということですし、そうなれば当然、基金を取り崩して対応せざるを得ないということになります。そして、このような状況が続けば、いずれ基金が枯渇していくことは明らかなことでございます。  ここで、大分県杵築市の緊急財政対策の資料がございますけれども、杵築市は別府湾に面していて、人口はほぼ水俣市と同じでございます、令和2年10月現在で2万7,300人、元年度は、標準財政規模は104億円、決算額は228億円です。本市は、令和元年度の標準財政規模は80億、決算額は159億ですので、本市より一回り大きいということにはなります。さらに、杵築市は平成28年度以降、実質単年度収支が3年連続して赤字になり、平成30年度決算では経常収支比率が100%を超過して、財政調整基金の取り崩しが続き、このままでは令和4年度に財政調整基金が枯渇し、令和5年度には財政再建団体に転落するおそれがあるとして、実質単年度収支に焦点を当てまして、令和2年2月に緊急財政対策を打ち出しています。  さらに、対策の内容につきましては、ここにございますように、16ページにわたって対策の内容、それから目的別に説明資料を33ページにわたって説明をしております。やはり、財政再建のためには、先ほど言われましたように、市民の方々に協力を得るというのは当然のことです。そのためには、やはり昨日も予算についての質問がございましたが、今後の対策内容というのをやはり明らかにして初めて市民の協力が得られるというふうに思いますので、この公表については今後ぜひ考えていただきたいというふうに思います。  令和3年度予算を健全化の1年目として編成をしましたけれども、一方では敬老祝い金を廃止し、病院事業への大幅な減額というのを打っておきながら、みなくるバスの無料化など、新規事業を開始しています。このように、やはりどうしても私から見れば政策の曖昧さというのが見られまして、非常にわかりにくいというふうに思います。そういう意味ではぜひ、先ほどのような明確な説明資料や説明内容については、当然すべきものだというふうに思います。  そこで、1点目です。  水俣市は、平成22年度に黒字を計上して以降、10年も実質単年度収支の赤字が続いております。特に、平成27年度以降大きく財政が悪化し、私は遅くともこの時点で緊急財政対策を策定すべきではなかったかというふうに考えます。いかがでしょうか。  次に、2点目です。  今の水俣市の予算の公表の仕方は、非常にわかりにくいと私は思います。どの事業を見直したのか、前年度の予算書と照合しなくてはわからないというふうな状況もございます。ましてや、市民にはなおさらのことです。先ほども申し上げましたように、何を基準に、なぜ予算を減額する必要があったのか。また、なぜ施策の廃止をしなければならなかったのか。また、新規に開始した施策の必要性についても、もっとわかりやすく説明する必要があるのではないかと私は思います。  特に、緊急財政対策のような計画を策定せず、毎年度の予算編成作業の中で健全化に向けた取り組みを進めるというのであれば、少なくとも市民の理解を得るために、もっとわかりやすい予算書の公表を積極的に推進すべきではないかというふうに考えますが、それについていかがか。国からの着任の総務企画部長の見識に大いに期待はするものの、やはり最終的には為政者たる市長の、私は、責任だというふうに思います。  その点について質問をいたします。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 中谷総務企画部長。 ○総務企画部長(中谷 衛君) 岩阪議員の3回目の質問にお答えいたします。質問は2点だったと思います。  1点目は、平成22年度に黒字を計上して以降、ずっと10年間も実質単年度収支の赤字が続いており、特に平成27年度以降大きく悪化していると、この時点で緊急財政対策を策定すべきではなかったかという御質問でした。  平成22年度以降につきましても、健全な財政運営を行うべく取り組んでいましたが、結果として本市の財政は平成27年度から大きく悪化していますので、もっと厳しい対策をすべきであったとの御批判は真摯に受け止めなければならないと考えます。しかしながら、平成30年度決算において、財政の悪化が表面化して以降、財政健全化に取り組んだ結果、先ほどお答えしましたとおり、改善に向かっている途上にあると考えております。令和4年度予算においては、財政健全化を継続するとともに、市の将来を見据えた新たな施策の展開を図るため、水俣未来投資枠を設定し、守りと攻めからなる予算編成をすべく取り組んでおります。  2番目の御質問ですが、財政健全化の取り組みを進めていく中で、市民の理解を得るためにもっとわかりやすい予算書を公表すべきじゃないかという御質問でした。  議員御指摘のとおり、財政健全化の取り組みに最も重要なものは、市民の御理解と御協力であると認識しております。議会に提出する予算書は、総務省令の定めに従う必要がありますので、その内容を大幅に見直すことはできませんが、市民にわかりやすい広報は重要であると考えており、現在、市政報告会で市長が、水俣市の財政状況や重点施策について説明するとともに、本年度から予算編成方針の概要を「広報みなまた」に掲載したところです。引き続き工夫して、わかりやすい形での公表に努めてまいります。  以上でございます。 ○議長(牧下恭之君) 次に、小中学校の一貫教育具体的推進について答弁を求めます。  小島教育長。   (教育長 小島泰治君登壇) ○教育長(小島泰治君) 次に、小中学校の一貫教育具体的推進について順次お答えします。  まず、水俣市のこれまでの取り組みについての御質問にお答えします。  小中一貫教育の定義については、小中連携教育のうちの1つであるとされています。小中連携教育とは、小中学校段階の教職員が互いの情報交換や交流を行うことを通じて、小学校教育から中学校教育への円滑な接続を目指すさまざまな教育とされ、小中一貫教育は小中連携教育のうち、小中学校段階の教職員が目指す子ども像を共有するとともに、9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な教育を目指すものとされています。  小中一貫教育を含む小中連携教育の目的について、最も広範に指摘されているものとして、小学校から中学校への進学に際し、新しい環境での学習や生活に不適応を起こす、いわゆる中1ギャップへの対応があげられています。本市におきましても、主に中1ギャップと学力向上への対応に重点を置いて取り組みを進めました。  その取り組みにつきましては、平成29・30年度の2年間、市の小中一貫教育研究推進校の指定に併せて、熊本県の幼保等、小、中連携実践研究事業の委託を受け、袋中学校を研究指定校に指定し、袋小学校を研究協力校、校区内の水俣さくら保育園、みどりの森こども園も研究協力園として研究に取り組みました。小中一貫教育研究推進校としては、小中一貫教育の課題等についての研究を行いました。幼保等、小、中連携実践研究事業においては、連携の具体的な実践方策の研究として、ゼロ歳から15歳までの15年間を見通した袋校区の目指す子ども像を設定し、連携実践事項や推進体制整備等について研究を進め、平成30年10月に研究発表会を実施しました。  次に、研究推進体制はどう構築されているかとの御質問にお答えします。  先の研究では、連携を深める組織として、園長・校長会議をはじめ全体を見通した計画を進める計画委員会、事業実践等を行う小中連携部会、幼保小中の連携の活動を推進する実行委員会等を設置しました。その中で、職員が同じ視点を持てるよう設定した共通の学校教育目標に基づき、連携カリキュラムの共通実践を図りました。  次に、これまでの取り組みの成果と課題についての御質問にお答えします。  袋中校区の研究の成果としては、小学校の教職員が中学校へ、中学校の教職員が小学校へ出向いての乗り入れ授業や、異年齢集団による体験的な交流活動等を通して、小学生が中学校の雰囲気に慣れることで、進学への不安の軽減、いわゆる中1ギャップの解消につながり、入学時に中学校の勉強に不安を持っていた生徒の割合が92%から66%に減少しております。また、教職員の合同研修会や授業研究会を行うことにより、系統立った授業の流れを構築することができるなど、授業改善の意識の高まりにつながりました。  一方、課題としては、乗り入れ授業や交流活動等、教師の打合せ時間の確保が難しいことなどがあげられます。また、乗り入れ授業をする際の教員免許の校種や教科の対応など、教職員の配置についても課題と言えます。また、小中一貫校に関する調査では、児童生徒に関する課題として、9年間を見通した独自の教育課程を編成するため、転入・転出した児童生徒が学習できない単元が発生する可能性があること、本来発揮される小学校6年生のリーダーシップが薄れてしまうこと、学校全体としての行事が増える可能性があり、子どもたちにとって過度な負担になるおそれがあることなどがあります。  次に、今後の展望についての御質問にお答えします。  先の研究につきましては、一定の成果があり、現在、袋中校区におきましては研究の成果を生かすとともに、他の中学校区のモデルとして引き続き乗り入れ授業や体験的な交流活動の実施など、保育園、こども園も含めて小中連携教育の充実に取り組んでおります。その他の中学校区におきましても、幼保等、小、中連絡協議会や中学校ブロック別担当者会、授業研究会を実施し、幼稚園、保育園、こども園から小学校へ、また小学校から中学校への円滑な接続など、研究の成果を生かして、幼稚園、保育園、こども園も含めた小中連携教育の充実に取り組んでおります。  今後の展望としましては、研究成果を踏まえたこれまでの小中連携教育の取り組みで、中1ギャップへの対応等にも一定の成果が上がっておりますので、目指す子ども像の共有や乗り入れ授業の取り組みなど、小中一貫教育の要素を取り入れた小中連携教育のさらなる充実を進めてまいりたいと考えております。  小中一貫校の導入につきましては、先ほど述べました児童生徒に係る課題や教職員の労働時間及び配置の課題等がありますので、先行事例を分析しながら慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(牧下恭之君) 岩阪雅文議員。 ○(岩阪雅文君) この件につきましては、私は今回で2度目なんですけれども、当時具体的に、当市市内に隣接する袋校区、あるいは緑東校区について、導入したとか、あるいは英語等教育の充実について積極的に取り組みできないかというふうに質問した経緯もございます。当時の教育長の答弁では、教育振興計画の策定のためのプロジェクトチームの設置をしたい。その中で、学校現場や各学校に設置されているコミュニティ・スクール運営協議会の意見を聞きながら、小中一貫校についてもほかの教育政策と併せて協議をしていきたいというふうに答弁をされております。  今、答弁をされたのは、その各学校内に設置された推進体制というのは理解できましたけれども、教育委員会内での推進体制というのはあるのかどうか、この辺をまず1点目お聞きします。質問します。  それから次に、課題等については、確かに成果課題について発表があったということですが、水俣の教育の48集に袋中学校の活動の中で、試行錯誤されながら一生懸命取り組んでいらっしゃる様子を伺うことは十分できます。そうしますと、2年間のあげられた成果等というのは、やはり教育委員会としても積極的に取り組んで、併せながら取り組んでいくべきだというふうに思っておりますので、その推進体制についてまずお伺いをいたしたいと思います。  2番目は、今の課題等について教育委員会としてどう対処していくのかですね。  それから、実施までの見通しについてですけども、市長も議員時代に一般質問の中で、小中一貫教育について質問をされていらっしゃった。そのときの答弁では、3、4年ということでもあったんですが、最終的には5年程度はかかるんではないかというふうに答弁をされています。今の答弁を聞きますと、どうも見通しはまだ暗いようですけども、その点について、今の教育長はどのように年度的に考えていらっしゃるのか。  その3点について、まず質問します。 ○議長(牧下恭之君) 小島教育長。 ○教育長(小島泰治君) 岩阪議員の2回目の御質問にお答えいたします。3点ございました。  まず1点目なんですけども、教育委員会内の推進体制はどうなっているかとの御質問でした。  いわゆる小中一貫教育についての推進体制については、現在のところございませんけども、小中連携教育の推進体制としましては、教育委員会において各小中学校の校長、幼稚園、保育園、認定こども園の園長及びそれぞれの担当者、PTA連絡協議会会長で、幼保等、小、中連絡協議会を設置し、全体会、担当者会、中学校ブロック別担当者会を開催しております。この中で、目指す子ども像と共通実践項目の設定、連携カリキュラムの作成を行い、市内全中学校区で実践できるよう取り組んでいるところです。  2つ目ですけども、袋中学校区の研究の課題です。これについてどう解決していくのかというような御質問でした。小中連携教育の課題である教職員の打ち合わせの時間の確保につきましては、ICTを活用したオンラインでの交流や打ち合わせをするなど、効率化を図っていきたいと考えております。また、教員免許の校種や教科、教職員の配置の対応につきましては、各中学校区での乗り入れ授業の実施も想定しながら、教職員の所有免許にも可能な限り配慮し、教職員を配置していただけるよう働きかけをしてまいります。  3点目なんですけども、小中一貫教育の見通しはいかがかというふうな御質問でした。  先ほども述べましたけども、今後も小中連携教育を充実させて、幼保等、小、中の円滑な接続に取り組んでまいりたいというふうに考えております。9年間を見通した教育課程の編成などを必要とする小中一貫校の導入につきましては、先行事例を分析しながら慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(牧下恭之君) 岩阪雅文議員。 ○(岩阪雅文君) これまで多くの議員が一般質問はされてますけれども、答弁については慎重に検討、慎重に検討というふうな答弁が非常に多いわけですけども、それだけ大変だなと、思いはもちろんします。それでも、教育委員会内の推進体制ということはないということですけども、この熊本県の実践事業実例集というのを見まして、県内5市の実例を紹介しているんですけども、玉名市では運営組織として学校長6人、教務主任5人、小中一貫教育推進委員9人、コーディネーター、それから各事務局会議16人、その下に全体会と3部会があります。このように独自の方式をやっていますし、八代市では八代方式なるものを構築してやっております。私は、やはり水俣ももうちょっとこの水俣独自といいましょうか、やはり研究校もできたことですし、少しずつ進歩はしているというふうに思うんですけれども、やはり水俣方式を目指すような意気込みで推進体制、あるいは推進プランといったものを策定していくべきでないかというふうに思っております。ですので、教育長になられて、この決意のほどについて、この質問はまず終わりたいと思います。  これは1点目です。  2点目は、先に地方教育行政組織及び運営に関する法律ということで、市長も教育に対して物申すことができるようになったわけですが、総合教育会議を設置されまして、三位一体、教育委員会あるいは市長、教育長、三位一体になったというふうに思います。  そこで、市長としてその実践する当事者となられたわけですけれども、この小中一貫教育についてどのように考えておられるのか、2点、教育長の決意と市長の一貫教育に対する思いをお尋ねして終わりたいと思います。 ○議長(牧下恭之君) 小島教育長。 ○教育長(小島泰治君) 岩阪議員の3回目の御質問にお答えします。  推進体制ということですね、それをつくってくださいというような意図ではなかったかなというふうに思いますけども、小中一貫教育は中1ギャップ等の課題を解決するための手段でありまして、それ自体が目的ではありません。小中一貫教育の検討は、研究校での研究の結果、中1ギャップ等の課題へは、小中連携教育の取り組みによる成果が得られておりますので、小中連携教育のさらなる充実を今、進めているところです。  小中一貫校につきましては、先ほど述べましたとおり、先行事例を分析しながら慎重な検討が必要であるというふうに考えております。その中で、議員がおっしゃる推進体制、推進組織、計画についても必要に応じて検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 岩阪議員3回目の御質問で、私のこの体制に対する考えはということでお尋ねでございます。  子どもたちをめぐるさまざまな課題に対しまして対応するためには、小中一貫教育も含めた小中連携教育のあり方を検討する必要があるというふうに考えております。今後も必要に応じて、総合教育会議などで教育委員会と議論をしてまいりたいと考えております。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 次に、市長の公約や施策等の達成と実現度について答弁を求めます。
     髙岡市長。   (市長 髙岡利治君登壇) ○市長(髙岡利治君) 次に、市長の公約や施策等の達成と実現度について順次お答えします。  まず、恋路島の利活用と今後について、どう対処するのかとの御質問にお答えします。  恋路島の利活用については、本市では恋路島に関わるある団体等をメンバーとする恋路島活用検討委員会を設置し、平成27年度、28年度に検討を行いました。検討委員会は、検討内容を取りまとめた恋路島利活用のための手引として、「恋路島がたり 恋路島の価値を未来につなぐために」の冊子を平成29年度に作成しました。この冊子の中で、恋路島への渡航については、原則として1回の渡航者を20名以下とするなど、島及び周辺海域の自然環境を保全した利活用を行っていくという検討委員会の方針が示されました。  恋路島には、準絶滅危惧種のナガミノオニシバ群落やタブノキの自然林、タツノオトシゴなど豊かな自然や生き物があります。このような貴重な自然と共存しながら利活用することを検討してまいります。  次に、認定こども園への移行支援について、本事業は厚生労働省、文部科学省の施策が混在しているが、順調に推移しているかとの御質問にお答えします。  移行を希望した認定こども園については、平成28年度から保育園5園、幼稚園2園の計7園が令和2年度まで問題なく移行しております。移行の要件として、保育園、幼稚園双方の機能を備えることが必要となりますので、本市では幼稚園に保育を行うための保育室や調理室等を整備するなど、認定こども園を運営するためのハード面での整備に必要な支援も併せて実施したところです。  次に、水俣病被害者の救済支援についてさまざまな立場の人から話を聞いて対話の機会をつくるとしているが、できたかとの御質問にお答えします。  平成30年の施政方針で、対話の機会をつくることを述べておりますが、平成30年度及び令和元年度に、水俣病被害者・支援者連絡会と懇談を行い、水俣病互助会、チッソ患者連盟、水俣病被害者の会、水俣病不知火患者会水俣病被害者互助会、水俣病被害者市民の会の方々から御要望をお伺いしております。また、原因企業であるチッソに対しては、いただいた御要望をお伝えするほか、チッソの経営状況を私と副市長に直接説明していただくなど、さまざまな立場の方とお話をさせていただいております。  そのほか、国に対しては上京の際に、被害者救済は水俣市における最大の課題であることをお伝えし、解決のための支援をお願いするほか、環境省の職員が水俣を訪問された際に、しっかりと実情をお伝えしているところです。また、県に対しては要望活動を行い、令和3年度から令和7年度までを計画期間とする第七次水俣・芦北地域振興計画の策定の際に、水俣病の教訓に基づく環境への取り組みを計画に組み込んでいただくなど、積極的な対話を行っております。  このように、さまざまな立場の方とお会いすることにより、対話の機会をつくることができたと思っております。  次に、最適な行政の実現についてどのようなことを行ったかとの御質問にお答えします。  平成30年度の施政方針で申し上げましたように、最適な行政の実現とは、市民のニーズ、地域の実情に沿った最適な行政サービスを目指し、職員の力を引き出すこと、事務の合理化、効率化を進めることだと考えています。そのため、持続可能な行政運営の確立を図るため、第6次水俣市行財政改革大綱に基づき、機能する組織づくり、行政力の強化、財政力の向上の3つの推進方針を柱に取り組みを進めております。機能する組織づくりについては、主に組織機能の見直しを図っております。  直近では、今年度からスポーツに関する事務を市長部局へ移管し、スポーツ交流課としてスポーツを通じて観光誘客や交流人口の拡大、集客促進につなげ、スポーツ関連の取り組みを一体的、総合的に推進する体制を整えました。  行政力の強化については、市が行う主な事務事業について行政評価を実施し、事業の選択と集中を図っています。財政力の向上については、主にふるさと納税による歳入の確保を図り、また、令和2年度に定めた予算編成方針において、令和3年度を財政再建に向けた1年目として位置づけ、財政健全化に努めているところです。  次に、市役所の働き方改革についてはどうかとの御質問にお答えします。  平成30年度の施政方針において述べた、柔軟で多様な働き方について、他団体、民間の事例などを参考に検討をしてまいりました。このような中、新型コロナウイルス感染症の拡大という未曽有の事態に見舞われ、職員の感染予防対策を講じる必要もあったことから、運用規程等を整備し、令和2年4月から在宅勤務を可能としました。さらに、令和3年1月からは時差出勤も可能としております。また、妊娠、出産、育児等、仕事の両立支援に関して、例えば不妊治療のための休暇など国家公務員の制度を参考に、休暇制度の拡充を図ってまいります。  次に、地域へ飛び出す公務員への応援はできたのかとの御質問にお答えします。  地域へ飛び出す公務員への応援とは、勤務を離れた時間には職員が1人の住民として、自治会や消防団などの地域活動へ参加しやすい環境づくりを推進することを目指したものです。例えば、年次有給休暇を取りやすい職場の雰囲気づくりや、先ほど申し上げた時差出勤制度の活用は、平日の地域活動に参加しやすくなることにつながります。また、職員が勤務中に火災出動などの消防団活動を行いやすくなるよう、出動時の手続を不要としました。こういった面からの応援のほか、自治会の役員をしている職員や消防団に加入する職員に対しては、折に触れ、私から激励を行っております。 ○議長(牧下恭之君) 岩阪雅文議員。 ○(岩阪雅文君) 今、答弁いただきました。  公約という大きいものから小さいものまでたくさんありますが、これは30年度の市報に掲載されたものを質問したわけですけども、24項目にわたって述べてございました。  恋路島についてですけども、先ほどエコパークの活用についても話がございましたけども、やはり当時は政策の連続性とか継続性とかについて質問をして、その活用についても市長が理解を示されましたので、今後、大いに期待をしたいと思いますので、よろしくお願いします。  それから、あと最適な行政の実現については、なかなか抽象的でございますし、最適な行政の実現、それから働き方改革、地域へ飛び出す公務員、なかなか私たち市民には見えにくい部分がございましたので、具体的にどういうことなのかということで質問をしました。最適な行政の実現については、第6次の行政改革大綱の中にも出てきます。そういう意味では広い意味もあるだろうと思いますので、この辺にしておきたいと思いますが、1つだけ、2回目について質問をします。  認定こども園です。このこども園についての内容について、あんまり詳しく知りませんので、認定こども園の経緯はどのような経緯から始まったのか、それから認定制度の内容とはどういったものか、それから少子化の中、現在の状況に課題はないのか、その3点について。この問題について第2の質問は、認定こども園についてのみお尋ねしたいと思います。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) 岩阪議員2回目の御質問にお答えいたします。  まず1点目の、認定こども園のこの経緯、どういった経緯から始まったのかという御質問でございます。  経緯としましては、幼稚園と保育所は、その目的及び役割を踏まえ、それぞれの社会的ニーズに応えてきましたけれども、近年の社会構造等の著しい変化を背景としまして、就学前の子どもに関する教育・保育については、保護者の就労の有無に関わらず、同じ施設を継続して利用したいなど、ニーズは多様化しつつあります。そのため、このような変化を考慮し、地域において子どもが健やかに育成される環境が整備されるよう、小学校就学前の子どもに対する教育・保育を提供する機能並びに地域における子育ての支援を行う機能を備える施設を認定こども園として認定を受ける仕組みを設けることとなりました。  具体的には、平成18年10月から、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が施行され、認定こども園制度が始まりました。  2番目の、認定制度の内容はどういうものかということでございますけれども、認定制度とは、教育・保育を利用する子どもについての区分のことで、次の3つの認定区分が設けられております。  まず、子どもを預ける標準時間が4時間である旧幼稚園の区分の1号認定、8時間である旧保育園の区分の2号認定、3号認定があります。なお、旧保育園の区分について、3歳以上を2号認定、3歳未満を3号認定としております。  3つ目の御質問でございます。現在の状況に課題はないかという御質問でございました。  本市に限らず、全国的に少子化が進んでおります。この状況がさらに進みますと、就学前児童の教育・保育を担う認定こども園等の運営がますます厳しくなってくると考えられます。他市町村においては、中山間地で既に閉園となっているところも少なくない状況であります。本市の少子化が進みますと、市内各園の実情に応じて定員を減らす必要性が出てくるものと思われます。  以上です。 ○議長(牧下恭之君) 岩阪雅文議員。 ○(岩阪雅文君) 3回目になりますけど、この件についてはまた別途質問したいと思いますので、これで結構だと思います。  具体的な内容について質問しましたけど、1次産業から6次産業まで幅広くありますので、公約の遂行、あるいは政策の遂行というのは大変なものがあろうと思います。  そこで、私の経験からしますと、まちづくりの理念、あるいは生まれ育った故郷への思い、そういったものに対して情熱や哲学というのがあるというふうに思います。いえば、まちづくりといっても、一口に言ってもやはり奥深いものがあるというふうに感じておりますけども、4年間の間そういった市長の思いが政策全般を通じて市民に伝わったのかどうか、その辺について各地区を回られていらっしゃいますので、ここでそういう思いが伝わったのかどうか、この辺の気持ちをお聞きして最後の質問としたいと思います。 ○議長(牧下恭之君) 髙岡市長。 ○市長(髙岡利治君) では、岩阪議員の3回目の御質問にお答えいたします。  このまちづくりとかそういうものに向かって、この4年間、市政運営を総括したその思いというものをという御質問でございました。  一言で申し上げますと、大変苦労した4年間であったというふうに感じております。私が就任時に市民の皆様とお約束をいたしました市政の変革と改革、これを進めるべく4年間の市政運営に取り組んでまいりましたが、平成29年度末の本市の財政状況というのは、先ほどから申し上げておりますように逼迫して、どのような施策や事業を展開しようと考えても進められない状況にもございました。岩阪議員も議長を経験されておられますので、御理解いただけるかと思いますけれども、全国の自治体がやはりしのぎを削って要望活動などを行っている中で、予算の確保をすることがいかに大変なことかは、それを経験した者にしか理解できないのではないかというふうに考えております。他の市町村に負けないように、積極的に要望活動を行うことが、これからの水俣市の将来を大きく左右すると痛感をさせられた4年間でもありました。  そのような思いの中で、困難な状況にあっても市民の皆様に安心をして暮らしていただけるために、そして水俣市が飛躍していくために、強い使命感を持って取り組んでまいりました。その結果、市長就任時に市民の皆様にお約束をいたしました公約は86%を達成し、財政健全化を進めながら1,100を超える事業を実施することができました。今後も、私の強みであります行動力と実行力を次の4年間でも十分に発揮できるよう邁進してまいりたいと思っておりますので、岩阪議員におかれましても、今後ともお力添えをいただきますようよろしくお願い申し上げて終わりたいと思います。  以上でございます。 ○議長(牧下恭之君) 以上で、岩阪雅文議員の質問は終わりました。  これで本日の一般質問の日程を終了します。  次の本会議は、明9日に開き、一般質問並びに提出議案の質疑を行います。  なお、議事の都合により、明日の本会議は午前9時30分に繰り上げて開きます。  本日はこれで散会します。                                   午後2時29分 散会...